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2008年11月 2日 (日)

日本一の個人投資家の“哲学”を表した『花のタネは真夏に播くな』

 株価が途方もなく低い水準にある。こんなとき、株式投資に関心のある方には、「日本一の大投資家竹田和平が語る旦那的投資哲学」という副題が付いた『花のタネは真夏に播くな』(水澤潤著、08年10月10日刊)を一読するのを勧めたいような気がする。私自身、こんな破天荒の人物がいるとは全く知らなかったのだが。

 竹田和平という人は「まえがき」によれば、「今では『会社四季報(二○○八年夏号』で確認できるだけでも百四社もの株主欄に名前が載っている」という日本一の大投資家だそうだ。そして「株が、株であるというだけで叩き売られている今の時代ほど、投資に適した時はないと竹田さんは言う」とのこと。世界経済危機のいま、この時点でもそう言っているのかと疑いたくなるが、本書を読んだ限りでは、それは変わっていないと受け取れる。

 ここでは、読んで強く印象に残った個所を紹介する。

 企業の社会貢献(メセナ)活動について、竹田さんは「会社が株主に配当すべき金を使って社会貢献するなんて、本末転倒もはなはだしい話です。社長が引退してから、自分の身銭で社会貢献すべきなのです」と言っているという。私はCSR(企業の社会的責任)の一環として社会貢献活動をそれなりに評価しているが、経営トップが引退したあと、社会貢献活動をすべきだという意見には大賛成だ。

 竹田さんは、「お金持ちというのは、みんなから感謝されたいと思っています。ありがとうと言ってくれるのなら、お金は使いたいのです。お金持ちが喜んでみんなのためにお金を使える方向に税制を大きく変えるべきです」、ところが、いまの日本は「政府自身がネズミ小僧をやっている」、「本物のネズミ小僧は民間人でしたから庶民は拍手し感謝したのであって、政府がネズミ小僧をやっても国民は誰も感謝しないでしょう。福祉なんて、相手が政府なら、施してもらって当たり前だとみんなが思います。お金をもらっても感謝がない。もっとよこせと不満ばかりを言うようになります」、福祉は民間がやるべき仕事であり、政府はプレーヤーを兼任するのでなく、審判の立場に戻るべきだ、と語っている。

 ものを言う株主は絶対悪だという宣伝が国民全体に刷り込まれ、それを一番喜んでいるのは「官」だとみる竹田さんはこう言っているという。「株主が口を出すのは悪であって、監督官庁の御指示によって会社が動くのが正しいというような、刷り込まれてしまった意識の下では、日本の景気は、永遠に回復しないかも知れません」。

 以上のほか、「上がってよし、下がってよしの株価かな」などという竹田さんの発想や、会社、株主、政府などについての彼独自の見解も興味深い。

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