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2008年11月10日 (月)

自治体の監査を機能させよ

 先週、会計検査院が発表した07年度決算検査報告は、中央官庁や地方自治体など公的機関のカネの使い方が不適切な実態を指摘した。地方自治体では今回調査対象にした12道府県で裏金づくりや架空発注などの不正経理が行われていたという。

 8日付け読売新聞朝刊の特集『ずさんな「公金」意識』の中で、増島俊之聖学院大学教授(元総務事務次官)は「監査は当事者自らが組織内の不手際を明らかにするのが筋。今回、自治体の不正が、外部の手でやっと明らかにされたのは、自治体の監査の仕方が、いかに手ぬるいかを物語っている」と論評している。

 監査委員の制度がほとんど機能していないのは、自治体の議会の議員が兼ねるケースが多いという事情に加え、監査委員事務局のメンバーも同じ役所の人間だからである。そうした欠陥のある制度を誰がつくったかといえば、責任の一端は総務省にある。その意味では、増島氏のような“戦犯”が他人事のように論評するのは許せない。

 大企業にも内部監査の組織がある。監査役監査を補佐する事務局はどの会社にもあるが、銀行など一部の大企業には、それとは別に検査部などという、支店などをチェックする組織がある。これらの内部監査組織も社員が配属され、不正経理などに目を光らせている。身内だから適当に見逃すというようなことは皆無ではないだろうが、そうそうはない。カネの面でのでたらめは会社の経営を揺るがしかねないからである。

 これに対し、公金をいくらムダ遣いしても、自治体はつぶれない。カネが足りないといえば、総務省など国が何とかしてくれる。そうした甘えが自治体の議会議員にも職員にもある。住民の多くも、国が何とかしてくれると思っている。そこが企業と自治体との違いだ。そうした自治体の甘えの構造を断ち切る必要があろう。

 ところで、公認会計士が自治体をチェックする包括外部監査が1997年の地方自治法改正で義務付けられ、日本公認会計士協会などでは業務分野の拡大だとして、これを歓迎した。しかし、地方自治体の経営を適正化するうえで、いまの監査委員、監査委員事務局、および包括外部監査の組み合わせが十分か検証する必要がある。会計士協会に課せられた課題の1つではないか。

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