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2008年12月 5日 (金)

派遣労働者たちの苦悩が読み取れる調査結果

 国内の自動車メーカーなどが非正規雇用の労働者を切り始めた。世界同時不況なので、雇用を打ち切られた人たちの転職は困難であり、政府、企業、労働組合などとしても、放置しておけない緊急の課題と受け止める必要がある。ワーキングプア問題は新たな段階に入ったと思われる。それを考えるうえで参考になるのではないかと思うのが、1ヵ月前に厚生労働省が発表した「平成19年就業形態の多様化に関する総合実態調査結果の概況」である。

 同調査は正社員か非正社員か、さらに非正社員をパートタイム労働者、契約社員、嘱託社員、派遣労働者(登録型、常用登録型)、臨時的雇用者、出向社員、その他に分けて昨年10月1日現在の就業形態を調べたもの。それによると、正社員以外の労働者の割合は37.8%。前回調査(平成15年)に比べ3.2ポイントも増えた。パートタイム労働者は非正社員の半分以上の22.5%(前回23.0%)を占め、派遣労働者が4.7%と4年前より2.7ポイントも上昇した。

 正社員・出向社員以外の労働者に現在の就業形態を選んだ理由(回答は3つまで)をたずねると、「自分の都合のよい時間に働けるから」43.0%、「家計の補助、学費等を得たいから」34.8%、「家庭の事情や他の活動と両立しやすいから」25.3%、などの回答とともに、「正社員として働ける会社がなかったから」との回答が18.9%あった。男性に限ると、23.9%と多い。さらに派遣労働者だけでは37.3%の人が「正社員として働ける会社がなかったから」を挙げている。契約社員も31.5%が同じ理由を挙げた。おもしろいのは、「組織に縛られたくなかったから」という理由を12.3%もの派遣労働者が挙げていたことである。

 正社員以外の労働者に対し、希望する働き方をたずねたら、「現在の就業形態を続けたい」人が68.8%、「他の就業形態に変わりたい」人が30.6%だった。ちなみに、派遣労働者は「変わりたい」が51.6%、契約社員も50.2%と高い。

 正社員以外の労働者で、「変わりたい」と答えた人たちの90.9%が「正社員」を希望した。なぜ正社員になりたいのか。その理由をたずねたら(3つまで回答)、「正社員のほうが雇用が安定しているから」80.3%、「より多くの収入を得たいから」74.1%の2つが圧倒的に多かった。

 「他の就業形態に変わりたい」と回答した人の割合を年齢階層別にみると、20~24歳が65.9%、25~29歳が57.9%と半分をかなり超えた。30~34歳では48.6%、35~39歳50.1%となっている。30歳代では「現在の就業形態を続けたい」人と「変わりたい」人とが拮抗している。40歳代となると、「現在の就業形態を続けたい」人の割合が一挙に上がり、40~44歳では72.9%に達する。

 一方、事業所調査の結果をみると、正社員以外の労働者を活用する理由(3つまで回答)として、「賃金節約のため」40.8%、「仕事の繁閑に対応するため」31.8%、「即戦力・能力のある人材を確保するため」25.9%が挙げられている。そして、正社員以外の労働者を活用するうえでの問題点(複数回答)として「良質な人材の確保」51.4%、「仕事に対する責任感」48.3%、「仕事に対する向上意欲」37.5%が挙げられている。

 平成19年9月の税込み賃金総額が派遣労働者の場合、10万円未満の人の割合が8.8%、10万円~20万円未満の人が42.2%、20万円~30万円未満の人は36.8%である。ほかの非正規雇用も同様に賃金水準は低い。安く便利に使いたいという事業所側の希望と、仕事熱心で良質な人材の確保というのはおよそ矛盾しているのではないか。バブル崩壊後の長期低迷による“就職氷河期”に社会に出た世代の苦悩や悲鳴がこの調査結果から聞こえてくるような気さえする。現在は、この調査のときより、事態は深刻である。彼らに速やかに何らかの救いの手を差しのべるのは、主として政府の責務であり、償いでもあると思う。

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