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2008年12月14日 (日)

「居眠り磐音」の著者の思い

 友人、知人に小説「居眠り磐音」の熱心な読者がいる。佐伯泰英の書き下ろし長編時代小説『居眠り磐音 江戸双紙』のシリーズで、すでに27冊の単行本(文庫版)が出ている。何でそんなにおもしろいのかと思い、一冊目を読み出したら、止まらなくなった。もともと子供の頃、時代小説をよく読んでいたせいもあるだろう。

 剣の達人ながら、人間としての優しさにあふれた磐音(いわね)が苦難を重ね、大きく成長していく。武士・町人、金持ち・貧しい人々、彼が関わるさまざまな人々との善意あふれる交流と、彼を殺害しようとして次々に現れる武術者との緊迫した戦闘とがないまぜになって読者を引き込む。ときには退屈することもあるが、ちょっとひまになったときとか、疲れたなと思ったときに読むとリラックスする。

 その人気作家、佐伯氏がシリーズ第23巻の『万両の雪』に「あとがき」を書いている。そこに、時代小説に転じたときの気持ちをこう書いている。「絵空事、嘘とすぐに分かる物語でもいい、浮世の憂さを晴らす読み物を書こうと思った。 父が倅を、娘が母を、女が男を、人が人を信じられる世間を描写しようと思った。 読後に一時の爽快感を得られるような物語を書こうと思った。」

 その部分の少し前のところでは、「陰湿きわまりない閉塞感に満ちた日本社会は過酷にも希望なく一筋の光明すら望めない。」と書いている。そんな社会のリアリティを映すような作品は、それが「人間の魂に触れ、肺腑を抉るものであったとしても」、彼にとっては書く価値がないと言っている。

 いま、この時期、この作家の作品が多くの人々に読まれる理由がわかったような気がする。

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