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2008年12月27日 (土)

「明けましておめでとう」とは書きにくい

 年賀状を出す時期だが、「明けましておめでとう」と書けるような展望は開けていない。それどころか、この危機の底の深さをいっそう強く感じる。

 一般の暮らしで一番大きい買い物はおそらく住宅、二番目がクルマだろう。金額が大きいから、ローンの利用が多い。ローンは将来の所得を当てにする、需要の先食いである。しかも、ローンの供与の条件は傾向としてゆるくなってきた。そうやって、住宅・不動産業界も、自動車業界も、そして金融業界も、成長を遂げてきた。米国でも、西欧でも、日本でも。

 したがって、住宅・不動産、自動車、金融の分野は販売、部品・材料などの関連産業を含めると経済全体に占めるウエートが非常に大きい。そのため、それらの産業が縮小に転じると、そのマイナス連鎖は経済社会に大きな打撃となる。しかも、世界最大の経済規模を持つ過剰消費国、米国が急速に不況に突っ込んだため、日本、中国など対米輸出依存度が直接、間接に大きい国の経済は輸出減の影響をもろに受けている。

 必要なものを必要なときにだけ調達するというカンバン方式のもとでは、末端の需要、販売動向がもろに短時間のうちに生産段階に反映される。溜めというか、バッファーがない分、一気に経済全体が萎縮する。

 一将成って万骨枯る。日本では、下請け企業などにしわよせが行く傾向が強い。金融機関は金融機関で、自己資本比率の低下を懸念し、不良債権の発生を恐れて、取引先を安易に切ろうとする。

 個人消費は食品などの必需品を別にして、いま買わねばならないものは少ない。クルマなどは買い替え時期を延ばせばいいということになりやすい。企業も設備投資の凍結、延期など巣ごもりを始めている。

 したがって、いまは公的部門が財政、金融の面で経済の極端な縮小に歯止めをかけるのは大事だ。とともに、企業がいまこそチャンスと将来性のある事業分野に取り組むという企業家精神の発揮を期待する。政府がそれを支えるために必要な規制緩和を推進したり、中長期の経済社会発展ビジョンを示してそれに沿った経済対策を打ち出すことも欠かせない。

 この未曾有の危機においても、明るいニュースがある。非正規労働者の雇い止めで失業し、住むところを追われる人たちにNPOが救いの手をいち早く差し伸べたことだ。人は年末・正月休みだからメシを食わないですむわけではないし、まともに寝るところも要る。お役所仕事では、ややもすると、福祉サービスは土日祭日は休み、夜間も休みということが多い。それだけにNPOが労働、福祉の分野で弱者を護る最前線に立っているのはありがたい。

 派遣の失業者などを雇おうとする企業や、一定期間に限って雇用する自治体が現れたことも明るいニュースだ。サービス業などでは、人手不足で思うように事業を拡大できない企業も少なくなかった。労働条件はいいとは言えないかもしれないが、それを厭わねば、結構、働き口はあるのだ。従来、そういった企業は募集しても誰も来てくれないので、たいていあきらめていた。

 カンバン方式のように、大企業はともすれば減産、即、雇用調整ということで非正規雇用を切るのを当然視していたようにみえる。社員に対しても、かつてのように労使関係を大事にしていた時代と異なり、ドライな発想をする人事労務担当幹部が増えている。だが、彼らには、CSR(企業の社会的責任)とは何かを改めて、この時点で考えてほしいと思う。個々の企業が個別最適を追求し、その結果、日本社会全体が不最適になるのは避けたい。

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