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2008年12月 7日 (日)

世界経済危機と地球温暖化問題とを考える

 12月1日からポーランドのポズナンで、気候変動枠組み条約の第14回締約国会議(COP14)および京都議定書の第4回締約国会議(MOP4)が開かれている。ポスト2012の温室効果ガス削減の枠組みを2009年末までに設定するための具体的な枠組みづくりが目的である。しかし、世界金融危機が世界同時不況を引き起こしつつあり、それが地球温暖化対策にも複雑な影響を与えている。

 単純に考えれば、世界経済が不況になることは温室効果ガスの排出量の増加テンポを緩和するか、減少をもたらす。地球温暖化を懸念する立場からすれば、歓迎すべき現象である。いまでも、人口数や各種資源の消費量が多過ぎることが温暖化の原因なのだから、ここで経済発展を一休みし、温室効果ガスの排出量を減らす方向へと転換する、神から授けられたチャンスと受け止めてもよさそうなところだ。

 しかし、おそらく、世界の多数はそうした見解に与しないだろう。収入減とか失業の増大のほうが人々の関心事であり、政治もそちらを重視するからである。EUは環境対策で世界をリードしてきたが、EU域内のイタリアは今回の世界経済危機に直面してEUが掲げる温室効果ガス削減目標に否定的な態度を示している。EUに加盟しているポーランドなどの東欧諸国も、排出量取引の導入などによる負担の大きさなどを考えて、やはり否定的であるという。

 COP14/MOP4があまり進展がないのは、このように当面の経済危機のほうが大きな政治的、社会的な問題になっているからだろう。しかし、経済か環境かのどちらをとるかの問題ではなく、経済も環境もと二兎を追うことが人類の将来にとって必要である。

 これまで、再生可能エネルギーの積極的な導入や、住宅、自動車、電機製品などの省エネ化などを進めれば、経済が発展しながら温室効果ガスの排出を大幅に減らすことができるといわれてきた。日本は環境と経済の両立を図る環境立国たるべしともいわれる。しかし、西洋文明の基本的な枠組みを維持したまま新エネ、省エネなどの環境対策とGDPの増加を図るという前提では、2050年までに温室効果ガスの年間排出量(絶対量)をいまの5分の1にまで減らすのは至難の技である。

 そこで思い出すのは、人口や経済ストックが増えも減りもしない定常状態のままで、環境負荷も小さいという、ハーマン・デイリーが提起した「steady-state  economy」という考え方である。彼の著書を読んでいないので、それがどの程度実現可能かわからないが、富の拡大を限りなく追求する現在の市場経済をどういう形にか修正していくということが環境問題の制約から必要だという気がする。

 現在の世界経済危機は、いままでの市場経済の仕組みを多少なりとも変えるきっかけになるだろう。できうれば、その改変に地球温暖化対策を組み込めれば最高である。オバマ大統領の米国が打ち出す新しい政策が、世界を巻き込んだ市場経済改革と地球温暖化対策とをリンクしたものならば、新年は希望に満ちたものになるが、それは初夢だろう。それはそうだとしても、いまの市場経済システム自体が絶対的な真理でもなんでもなく、もっとすぐれたシステムがありうる。それを模索し始めるときではないか。

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