« 「居眠り磐音」の著者の思い | トップページ | 法人企業統計が示す日本企業の財務体質改善 »

2008年12月14日 (日)

自民党税制改正大綱のいい加減さ

 自由民主党が12月12日に発表した平成21年度税制改正大綱を読んでいたら、「第 二  税制抜本改革の全体像」の中で、「われわれは経済活性化と財政健全化の両立を図っていくべき責任を有する与党の矜持として、来るべき税制抜本改革の具体的な道筋を以下のとおり示す。」というくだりにぶつかった。

 そして「税制抜本改革の道筋」として8つのポイントを挙げている。①高所得者の税負担引き上げや低所得者世帯の税負担軽減、金融所得課税の一体化、②法人所得の課税ベース拡大と実効税率引き下げの検討、③社会保障に消費税全額を充てることを明確にし、消費税率引き上げを検討する、④自動車関係諸税の総合的見直し、負担軽減、⑤相続税の課税ベースや税率構造の見直し、⑥納税者番号制度の導入、⑦税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築、⑧税制全体のグリーン化。

 この「第二 税制抜本改革の全体像」は、通読すると、消費税を持続可能で堅固な社会保障制度の主要な財源とみなし、「制度的準備を整えた上で、経済状況の好転後、速やかに税制抜本改革を実施する必要がある。」という点を最も強調していることが明らかである。

 一方、「第一 平成21年度改正の基本的考え方」のほうは、国民生活を守り、今年度からの3年間のうちに景気回復を最優先で実現するという決意のもと、「大胆かつ柔軟な減税措置を講じる」という。そして住宅取得減税、エコカーの減免税、海外子会社からの利益還流への益金不算入、中小企業の法人税率引き下げなどを実施すべきだとしている。

 ところで、平成20年度の補正予算や21年度の予算で、政府は大規模な景気対策を実行しようとしている。他方で、税収は見込みを大幅に下回る結果になりそうなため、国債発行残高は20年度以降、猛烈な勢いで増えそうだ。財政再建路線は棚上げされたも同然で、金融市場において国債価格が暴落し、金利が急騰するといった危機的な状況が起こるという不安もないではない。

 それだけに、プライマリーバランスの黒字化という目標を常に意識し、それへの実現ステップを国民や市場に明示することが求められる。つまり、増税策等(社会保険料引き上げを含む)の具体的な中身や実施時期を国民に示すことだ。しかし、自民党の税制改正大綱は、どういう経済状況になったときに、消費税を何%にするかなど具体的な数字については全く触れていない。ましてや、財政健全化の第一歩にすぎないプライマリーバランスの黒字化や、GDP比の国債残高の比率の引き下げ目標などにも言及していない。100年に一度の危機とはいえ、将来の日本の経済社会のあるべき姿を想定もせずに、ただカネを使えばいいというものではない。

 大綱が、今後の税収を見積もることもなく、また、ムダな歳出を抑えるよう求めもせずに、お気楽に「大胆かつ柔軟な減税措置」なるものを並べ立てている点にもいい加減さを感じる。選挙での劣勢が色濃くなればなるほど刹那的になり、バラマキに走るということだろう。責任政党なんて言えた義理かと思う。

|

« 「居眠り磐音」の著者の思い | トップページ | 法人企業統計が示す日本企業の財務体質改善 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/43421817

この記事へのトラックバック一覧です: 自民党税制改正大綱のいい加減さ:

» 保険 見直し [保険 見直し]
その定期保険と貯金(まあ、一般的な形で今回は貯金として考えます。)の比率をどうするかと言うことが重要になるのではないでしょうか。 [続きを読む]

受信: 2009年1月 8日 (木) 16時35分

« 「居眠り磐音」の著者の思い | トップページ | 法人企業統計が示す日本企業の財務体質改善 »