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2008年12月 4日 (木)

沈みゆく船のあがき?

 ここ数日間の新聞報道を読むと、財政のバラマキで選挙民のご機嫌をとろうとする与党・自民党の動きに歯止めがなくなったように思う。自民党政権の沈没が近いことを感じる。麻生太郎首相に代わって自民党を再建しようという志士はいない。いまの自民党を憂慮する有力議員の中には、民主党などの野党議員との連携をひそかに模索している人もいるらしい。無所属の平沼赳夫議員のもとに馳せ参ずる自民党議員も少なくないという噂を聞く。そうしたさまざまな動きのもとは、次期総選挙で落選したくないという思惑である。

 目下の与党の関心事は景気対策、それも財政出動である。並みの不況では終わらない経済の落ち込みに対しては、米欧と同じく、財政面からの景気刺激は必要だろう。しかし、巨額の財政赤字を抱える日本政府としては、将来の財政破綻を避けるための歯止めをいまからかけておく必要がある。

 第一に、財政による景気刺激策は将来の望ましい国家ビジョン(環境、エネルギー対策の強化、先端・基礎技術の開発、若者の職業能力の向上、食料の自給率向上など)に基づいたものに限る。第二に、いまだに中央・地方政府のムダが多いので、行財政改革を強力に推進すること。第三に、経済成長率や物価上昇率がいくらになったら財政刺激策をやめるか、予め設定しておくこと。第四に、同じく、経済成長率や物価上昇率がいくらになったら、消費税率をどれだけ上げるかの税制改正スケジュールを組み込むこと。

 原則もルールもなく財政支出を増やすというのは、確実に国を亡ぼす。国・地方政府は打ち出の小槌ではない。負担なくして受益なしという財政の基本を国民各位に理解してもらうことがいままさに重要である。

 小泉改革で国民の信任を得た与党・自民党が改革志向を失ったら、解散し総選挙を行なう義務がある。だが、どうも自民党は麻生総裁から平議員まで、改革にはソッポを向いている。その結果、霞が関の官僚たちの既得権益を存続させることにもつながっている。

 12月1日に政府の行政支出総点検会議が行政経費のムダをゼロにするための報告書を麻生首相に提出した。しかし、成果は会議の名称とは全く異なり、政府の公益法人向け支出が3500億円削減可能だという竜頭蛇尾のお粗末さ。政府の人員や予算のムダを洗い出すことがほとんどなかった。

 また、地方分権改革推進委員会は近く、国の出先機関の改革や国の地方に対する規制の見直しを求める勧告を行なうというが、各省庁は、地方公共団体に委ねるべき権限や予算をできる限り手放さないように頑張っている。これも大山鳴動ねずみ一匹のたぐいになりそう。

 政治が迷走すればするほど、官僚は自らの権益を守ろうとする。結果として、官僚支配の政治が続く。その意味でも、政治が国民の信頼を得られるようになることが望ましい。 

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