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2009年1月29日 (木)

施政方針演説の賞味期限は?

 1月28日の麻生首相施政方針演説に対する評価はいろいろだが、読んでみると、けっこう意欲に満ちていたというのが私の感想。世論調査にみられる低支持率にがっくりきているのか、と思いきや、やる気が衰えていない。首相は歴史的なこの時点において、使命感を感じているのだろう。

 「世界は今、新しい時代に入ろうとしています。」、「日本もまた、『この国のかたち』を変える節目にあります。」、「目指すべきは安心と活力ある社会」、「暮らしの安心は、年金、医療、介護など、社会保障制度への信頼があってこそ、成り立ちます。」、「国づくりの基本は、人づくりです。」、「地球温暖化問題の解決は、今を生きる我々の責任です。」

 「異常な経済には、異例な対応が必要です。」、「大胆な財政出動を行なうからには、財政に対する責任を明確にしなければなりません。」、「持続可能な社会保障制度を実現するには、給付に見合った負担が必要です。」、「分権型社会が目指すべき国のかたちです。」、「経済成長なくしては、財政再建も、安定した社会保障制度もありえません。」、「今こそ、政治が責任を果たす時です。国会の意思と覚悟が問われています。国民が今、政治に問うもの、それは金融危機の津波から国民生活を守ることができるか否かです。」

 このように、文中にはキャッチフレーズ的な言葉が随所にちりばめてある。それ自体はもっともだが、それをどうやって実現するか、果たして実現できるのか、といった各論になると、疑問点が一杯だ。それに何よりも、首相に対する国民の支持率がすっかり下がってしまっていて、演説で取り上げた個々の政策の実現性が限りなく低いと思うと、単なる作文のように思えなくもない。

 これに対し、民主党の鳩山幹事長の質問などを見ると、野党は、解散・総選挙を要求するばかりで、この歴史的な転換点という時代認識が欠如しているように思える。まことに残念だ。仮に、いま衆議院を解散して選挙をすれば、自民党が下野する可能性はきわめて高い。だが、民主党は100年に1度の危機にどう対処すべきかの政策を持っていない。というよりも、その政策をつくろうともしていない。いまだに、平時に政権を取ったときに備えつつある程度ではないのか。

 誤解をおそれずに言えば、いまは政権をどの政党が握るかはどうでもいい。挙国一致で危機を乗り越える智恵をひねり出さねばならない。

 足元をみると、日本の大企業は収益が急激に低下し、かなり先まで見通しが暗いため、生産能力の縮小、正社員を含めた人減らしに走り出している。雇用の縮小、失業率の上昇、労働者の収入減少といった現象が起きている。それらの影響を受ける地域があちこちに出ている。円高もあって、国内の工場を閉鎖し、アジアに移転するとか、海外に生産を委託するといった空洞化も起き始めた。

 このように、国内経済が傷み出しているのに、国会はそうした現実を知ってか知らずでか、いたずらに時間を浪費している。その間に、刻々と経済実態は悪くなっている。

 ダボス会議が始まった。そこでは、なぜ、このようなグローバルな同時危機が起きたのか、この危機を脱するにはどうしたらいいのか、将来、同じ過ちをおかさないために、何をすべきか、が問題意識とされているようである。日本の国会においても、日本が世界経済の主要メンバーだという自覚のもと、内外に対してとるべき政策を議論してしかるべきだろう。与野党ともにリーダーシップを発揮する人物がいないのは仕方がないとして、いまの日本の向かうべき道を見出そうとする努力ぐらいはしてほしい。

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