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2009年1月 8日 (木)

「財政健全化」というぼろの旗

 経済財政諮問会議が1月6日に開催された。テーマは「経済財政の中長期方針と10年展望(仮称)」の原案についてだった。2011年度までにPB(プライマリーバランス)を黒字化するというこれまでの政府の財政健全化目標は、撤回するのではなく、あいまい、かつ持って回った表現で残すことになったようだ。

 原案を読むと、PB(初期的財政収支と言うのが正しい訳だそうだ)の黒字化は持続可能な財政に向けた一里塚であり、「できる限り早期に達成することが必要である。」としながらも、すぐあとに「しかしながら、経済情勢が極めて流動的・不透明な中では、一定の確度をもって見通すことは困難であることから、当面、財政規律の観点から現行の努力目標の下で、景気回復を最優先としつつ、財政健全化の取組を進める。」と書いてある。いかにもお役人らしい書き方で、わかりにくい表現である。

 その点を、記者会見で与謝野経済財政担当大臣はこう語っている。「財政を健全化しようという目標自体は、やはり持っておく必要があるのではないだろうかということで、随分、ぼろの旗になりましたけれども、立てておくと。」、「この旗を取り去ったときの影響というのは非常に大きいので、旗は取り去れない」、「当面、努力目標としては2011を掲げておくと。しかし、その達成は急速に困難になりつつある」と。

 また、PBの黒字化はあくまで「一里塚」にすぎず、健全化の次のステップとして国・地方の債務残高対GDP比の発散を止め、安定的に引き下げることが必要だとされる。原案では、この債務残高対GDP比の引き下げについて「財政の持続可能性を確保する上で極めて重要な規準である。団塊世代がすべて年金受給者となる2010年代半ばまでにこれを達成するとの目標に向けて、適切な経済財政運営を行っていく」と述べている。

 麻生首相の言う「全治3年」として、その直後、つまり2011年度初に消費税の大幅引き上げが実現するなら、フローのものさしであるPBの2011年度黒字化も不可能ではない。しかし、今後の政治・経済・社会状況が消費税の大幅引き上げを許すとはおよそ考えにくい。むしろ、国債の増発が続く可能性が大きい。

 とすると、PB黒字化の達成時期は目標時期より何年か遅れよう。そして、ストックのものさしである債務残高対GDP比の発散を止め、安定的に引き下げることが可能になる時期も当然、先にずれるだろう。

 このように、従来の政府与党のやりかたの延長線上だと、政府は「旗」は掲げるものの、財政健全化は無期延期に近いものとなったように思われる。したがって、短中期の取り組みとして提案したいのは、これまでほとんど手がつけられないままできた個別の歳出の中身を1つひとつ丹念に見直すことだ。そのためには、従来の霞が関の予算編成などのありかたを変える行政改革が欠かせない。 

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