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2009年1月20日 (火)

池尾慶応大学教授の話から

  いまの金融危機および日本の課題について、池尾和人慶応大学経済学部教授の話を聞いた。いくつかの点が参考になった。

 教わったことの1つは、日本のバブルの発生・崩壊は伝統的な間接金融システムのもとで起きたのに対し、米国のそれは最先端の重層的な市場型間接金融システムのもとで起こったもの。市場型金融が未発達の状況で起きた日本の経験はいまの米国にはほとんど役に立たないという。

 第2に、米国では、これまで財政政策を景気対策に使うことには否定的だったが、やろうという関心が復活している。しかし、財政政策が有効だという証拠はない。ほかにやることがないからという消極的な理由からだという。

 第3に、日本経済はこれまで輸出型の製造業と国内市場向けの産業との2部門経済だった。北米市場に過度に依存した経済成長はもはや不可能。後者の国内市場向け製造業および非製造業は生産性が低いまま、失われた30年が続いている。この部門は1980年代以来の産業構造転換という課題をなんら解決できていない。ここ5、6年は輸出が好調で、問題を抱えたままごまかしてきただけだとのことだ。

 そして、第4に、マクロ経済政策では構造調整の必要性そのものをなくすことはできない。日本が構造調整にからんで、非伝統的な金融政策をとったり、財政のサステナビリティを失わせるような(すでに失っているというのが正確だが)財政出動を行なうのは弊害のほうが大きいという。

 第5に、日本はサッチャー改革前の段階にあるとのこと。いまの日本経済は食いつぶしてきたとはいえ、まだ余裕を持っている。我々(池尾教授ら)の年代は余裕があるが、30歳代は悲惨。さりとて“サッチャー”が出てきてよくなるかどうかは保証の限りでない。日本はアルゼンチン化することもありうるとのことである。

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