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2009年1月26日 (月)

良薬は口に苦し

 経済危機で、財政再建の一里塚であるプライマリーバランス(基礎的収支)の2011年度黒字化という政策目標が吹っ飛んだ。この結果、専門家の意見を聞いていると、日本国家がいずれ財政破綻に直面する危険性がかなり高くなった。では、国民は財政破綻に追い込まれたら、どんなに大変か、理解しているのだろうか。言い方を変えると、政府は国民に対して、財政破綻が国民の暮らしなどに及ぼす深刻な影響についてわかってもらう努力を十分してきただろうか。そして、財政は基本的には税収、つまり国民の負担で賄うのだということについてもきちんとわかってもらうようにしてきているだろうか。

 そんなことを改めて考えさせられたのは、麻生政権に関する世論調査の結果と山形県知事選挙の結果をみたからである。日本経済新聞の世論調査結果(1月26日付け朝刊)によると、2011年度からの消費税増税方針に対する賛成は24%、反対が67%である。定額給付金についての賛成が22%、反対が67%だから、回答者は消費税増税に対し定額給付金同様、かなりはっきりと否定に傾いている。

 消費税増税に対して、自民党支持層でも賛成が反対よりいくらか少ない。まして民主党支持層は反対が80%、無党派層は反対77%である。政権が民主党に移った場合、消費税の増税は自民党政権のもと以上に難しいように思える。ムダの排除などは当然だが、歳出が税収の倍近いという無茶な財政構造を正常化するうえで消費税の相当のアップは不可欠である。

 自民党、民主党の対立が県知事選挙に持ち込まれた山形県知事選挙は、現職1期を終える齊藤弘氏が新人の吉村美栄子氏に敗れた。一般に、2期目の選挙は現職が圧倒的に有利といわれるが、齊藤氏は接戦の末、落選した。齊藤知事が推進してきた財政改革に対し、吉村氏は、それが県民に大きな痛みを与えていると批判し、勝利をおさめたということのようだ。

 日本銀行、IMF(国際通貨基金)などで仕事をしてきた齊藤氏は、県財政の改革を「1丁目1番地」ととらえ、将来に対するツケとも言うべき県債残高を削減し、利払費を含めた財政収支の均衡を目標にしてきた。そのために、投資的経費の大幅削減などを実施したりした。しかし、県民はそうした財政改革による痛みに耐え切れなくなったらしい。福祉などへの歳出増を訴えた吉村氏に希望を託したようだ。義務的経費が9割以上に及ぶ硬直的な財政構造の中で、吉村氏のこれからの県政が財政悪化をもたらす可能性は高いのではないか。

 大阪府の橋下徹知事は就任して1年になるが、破綻寸前まで行った府財政を立て直すため、大規模なリストラ方針を打ち出した。事業費を大幅に減らし、職員の給与をカットするという荒療治をしても、そう簡単に府財政は立ち直らない。経済状況の悪化もあり、府民がどこまで耐えてくれるかが橋下知事の改革を大きく左右することになりそうだ。

 国の財政と都道府県市町村の財政とは基本的に違うところがある。国はカネがなくなれば、国債などを発行してカネをつくることができる。地方公共団体にはそうした自由がない。そうした違いはさておいて、公的財政は、歳出を主に税収でまかなうようにしないと、財政は破綻する。破綻したらどうなるか、それを為政者はかんでふくめるように説明し、理解してもらうことが大事である。「フリーランチはない」、「負担なくして受益なし」の原則を国民、府県民に十分わかってもらっていないと、国民は「良薬は口に苦し」を厭う。「こっちの水は甘いぞ」の声にひかれる。その結果、経済社会の崩壊に至るとしても。

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コメント

当たり前になってるが、「歳出が税収の倍近いという無茶な財政構造を正常化するうえで消費税の相当のアップは不可欠である」とゆう論理に、この頃疑問を持つようになった、30年前のように75%の累進課税は行き過ぎと思うが、65%位の累進課税に戻し、ある程度の所得再配分があった方が、社会階層の固定化を防ぎ、活気ある社会を創れるのではと思うようになった。
すべてを、消費税UPで問題を解決しようとする論調自体が、私には大きな作為に感じられ、時代遅れの感覚ではないか

投稿: kt | 2009年1月27日 (火) 00時29分

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