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2009年1月18日 (日)

岩田正美教授らの指摘

 1月17日に早稲田大学で開かれたシンポジウム「貧困の拡大とセーフティネットの役割ーー雇用と社会保障の交錯」を傍聴した。同大学《企業法制と法創造》総合研究所の催しで、橘木俊詔同志社大学教授と岩田正美日本女子大学教授の2人が報告し、それを受けて経済学者、政治学者、労働法学者がコメントし、あと討論をするという時間割だった。

 議論は多岐にわたったし、フロアの学者の意見もあったりして、私には消化しきれなかったが、印象に残った発言を引用すると――

○ 岩田正美教授は派遣切りなどの問題で「派遣労働者が会社の寮とか借り上げアパートにいたということについて、なぜ誰も何にも言わないのか」と述べた。これは90年代に起きたホームレス問題と同じ問題だという。ホームレスになった人たちの3分の2が会社の寮や旅館といった労働住宅にいて、そこを追い出されたとのことだ。

 英米では、ホームレスは軍隊とか精神病院など社会から隔離されたところにいた人たちがほとんどだという。これに対し、日本は会社をやめて、それまで住んでいたところを離れざるをえないことがホームレスになる主な原因だというわけ。日本は労働と住宅とが癒着している珍しい国だそうだ。

 企業から独立しているというのが派遣などの非正規労働の良さだったのに、いまのように雇用が不安定だと、失業者はとりあえずは寮付きの仕事に飛び付く。このように、労働者は企業にからめとられていると指摘する。

 岩田教授は「住宅は特殊な財。住むところがないと、選挙などにも行けない」、「住宅は政府が用意すべきだ。企業は雇用に純化すべきだ」、「(労働者には)常に一時避難所が要る。政府は外国にあるように、社会保障としての住宅手当をつくるべきだ」と強調した。

 住宅外に住む人は何人いるか。統計も何もないからわからないが、岩田教授は100万人ぐらいいるのではないか、と言っている。

○ フロアの大学教授の発言は、「日本では労使が国に何とかしてくれと言う。それではうまくいかないのではないか」と述べたあと、「正社員というのがあるために改革が難しい。解雇規制が厳しいと、正社員の採用がしにくい。社会保険料負担も高い。いまの正社員、非正社員の問題のもとになる正社員を改めねばいけない」というものだった。

○ 橘木教授は「経済活性化と公平性はトレードオフの関係にある。効率性と公平性を同時に満たす経済学がないのか。これが経済学者に与えられた課題だ。私には無理。天才経済学者の出現を望む」と述べた。また賃金を決定する基準として、貢献、必要、努力の3点を挙げた(このうちの「努力」については、コメンテーターから疑問が出た)。

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