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2009年1月24日 (土)

日米の通貨統合?

 日々、新聞を読むごとに内外経済の深刻さが増している。ものごとを考える際の意識を“平時”モードから”非常時”モードに切り替える必要があるのかもしれない。そんなことを思ったのは、冷泉彰彦氏(米国在住)の文章を読んだからである。

 作家の村上龍氏が主宰する「Japan Mail Media」の24日付けに、冷泉氏が「オバマ就任、そして日米」という題で、日米の通貨統合の必要性について書いている。

 ドルやユーロに比べ、円が強いため、思惑で円を暴騰させる条件は整っていると指摘し、放置しておけば、1ドル60円というような事態もありうる、そうなれば日本経済は破綻すると冷泉氏は言っている。そして、米国経済に深く組み込まれている日本経済が厳しい状態となれば、米国の実体経済を回復させるためのシナリオも破綻する。となると、最終的には、日米の通貨統合が現実的に検討されなければならないと言う。

 いま起きている危機のもとでは、それ以前の平時の常識というか、約束事は弊履のごとく捨て去られている。そうまでしないと、世界恐慌の進展を食い止めることができないとみられているからだ。日米通貨統合の是非はさておいて、平時のモードを引きずって思考している人たち――私もそのうちの1人――に頭の切り替え、発想の転換を求めているのだと言えよう。

 ところで、そうだからといって、何でもかんでもご破算に願います、ということでは無論ない。例えば、財政健全化である。大変な経済危機に対処するためだからといって、日本の財政健全化という重要な課題を無視してはならないと思う。

 日本経済新聞の23日、24日付け朝刊「経済教室」では、「危機下の財政再建」(上)、(下)を掲載。富田俊基中央大学教授と加藤久和明治大学教授が財政健全化および社会保障について執筆している。

 09年度の一般会計予算(案)の歳出は税収の倍近い。国債発行残高も560兆円に迫る。したがって、景気が回復して国債の金利が上昇すると利払いが増えるが、それを税収の増加分ではまかなえない。景気が回復すると、国債発行を増やさねばならないというリスクを抱えるに至っているのだ。富田氏はそのことを指摘し、「中期的な財政規律の確立が不可欠である。」と書いている。そして、「歳出抑制とともに、消費税率の引き上げを景気の谷の認定直後から段階的に実施することを検討すべきであろう。」と言っている。

 また、加藤氏は、GDPに対する租税・社会保障負担の比率の引き上げは経済成長率を低下させるとの結果が実証分析で得られたと指摘。「今後のわが国では負担拡大は不可避で、負担増を全く考慮せず経済成長だけに注力するという選択肢は考えられない。」とし、セーフティネットを効率的な経済成長の基礎となるという視点で整備することが不可欠だと書いている。

 財政再建を実現する道は非常に狭くなったのは確かだが、それでも日本の将来を思えば、その道をひたすら歩むしかないだろう。  

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