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2009年1月 9日 (金)

製造業への派遣禁止論議

 始まった国会では、野党が製造業への派遣労働を禁止すべきだと政府を攻め立てている。麻生首相は個人的見解として「製造業は常用雇用が望ましい」と述べている。年末から数日間、開設された「年越し派遣村」は東京都心の日比谷公園内、それも厚生労働省の目の前だったから、メディアが大きく取り上げる材料になり、それが製造業への派遣問題を国会論戦の主要なテーマに押し上げたことは否めない。

 この「年越し派遣村」は、たくさんの労働者が「板子一枚下は地獄」という危うい状況にあることを天下に訴え、政治、行政、企業経営者、労働組合などに対応を促した点で、画期的な意義を持つ。政治や行政をNPOが先頭に立って変えていく時代の始まりを意味しているのかもしれない。

 さて、国会の論議だが、問題を的確に把握し、適切な対応をするという観点で、いくつか疑問を抱く。

 年末の相次ぐ派遣切りを背景に、日比谷公園の「年越し派遣村」には500人を越える、住むところもない派遣失業者などが救いを求めた。しかし、以前からホームレスといわれる人たちが何万人もいる。彼らも、多くは失業し、住むところもないために公園や橋の下などで過ごしているのである。それらの人々の救済は政治の課題ではないのか。

 製造業の派遣労働では工場の近くに住居を確保することが欠かせない。クビになると、その住居を出ることになる。収入が断たれ、住むところも失う。まさに「板子一枚下は地獄」である。それを承知で雇用関係を切るというメーカーは非人間的だという非難が起こるのも理解できる。

 しかし、製造業の派遣労働はコストを切り下げ、かつ雇用調整がしやすいというので多用されてきたが、情報・サービス業など非製造業でも同様な理由で派遣労働や非正規雇用を多用している。土建業などでは下請け、孫下請け‥‥があり、コスト切り下げと必要なときにのみ雇うというバッファーになっている。製造業ならずとも、会社の経営がピンチになれば、非正規労働者のみならず正社員をも解雇せざるをえないことがある。倒産し、失業する労働者はたくさんいるのである。

 製造業の派遣労働者は住居も失うから悲惨だが、政治や政府がその責任をメーカーや派遣元に負わせるというのもどうかと思う。国民が住むところを確保するのは、本来、政府の住宅政策の基本である。まともに住むところがないと就職あっせんを受けられないというのであれば、当然、政治の責任として全国民に対して住宅を確保する義務がある。

 労働をめぐる課題は実に広範囲にわたる。一昨年あたりはワーク・ライフ・バランスが議論されたのに、ほとんど忘れ去られた。過労死、長時間労働、サービス(ただ働き)残業、低い最低賃金、ディーセントワーク(まっとうな仕事)等々の課題も、ほとんど改善されない。関連する生活保護、少子化などの問題を含めて、活気があり、皆が人間らしく生きていける社会にするためのグランドデザインを政治や行政がどうして提示しようとしないのか。

 日々の新聞の社会面には、人々の心が寒々とするような出来事が載っている。夢や希望を持たず、刹那的に暮らしている人が多いのだろう。経済全体として、これだけ豊かになったのに、それを国民の暮らしに生かせない社会は間違っている。

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コメント

厚生労働省 貧困率 最低賃金 民主党の対応は
◆厚生労働省が貧困率を発表
 この度、厚生労働省が初めて「相対的貧困率」※を発表(10/20)しました。当該数値は金融不況前の時点(07年)の為、現在はもう少し悪化していると思われます。これで厚生労働省の「日本に貧困は無い」と言ってきた主張はウソであると数値で明確に立証された訳です。従って、厚生労働省はこれまでの政策ミスを認め、新しい対策を立てるべきです。最低賃金が生活保護より安い地域の人々や、一生懸命働いていても貧困に陥ってしまう人々に対して、次の戦略を立てて実施すべきと考えます。日本の労働行政の間違いで拡大した“貧困率”に対してどう対応するのか、今、行政の責任が問われるべきです。
◆新政権が即実施検討すべきことは
 民主党の新政権はマニフェストに則り、即時“最低賃金の見直し”を実施検討すべきです。働けば貧困にはならない賃金、働いている人間が生活保護者より安い賃金、この二つの問題に対しては、即時検討と実施を望むものです。
詳細は下記をご覧下さい
◆人事総務部ブログ http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/ もどうぞご覧ください。

投稿: 人事総務部 | 2009年10月27日 (火) 08時49分

◆厚生労働省 「専ら(インハウス)派遣」の対応と生き残り

「専ら派遣」は、厚生労働省指針で20%以上の外部取引が必達となります。これは恐らく最初の指針数値であり、将来的には50%以上を満たす必要があるでしょう。その為、数社の金融機関系列の派遣子会社は廃止へと舵を切っている状況にあります。
この問題はスタートしたばかりであり、今後は「請負化(委託化)」か「直接雇用」に迫られます。あるいは、営業力を強化して外販率の拡大と、残されている道は決まっています。その上、一朝一夕に解決できる問題ではないので、今からシミュレーションを含め、対応を急ぐべきでしょう。求められているのはインハウスではなく、人材ビジネスとしての独立事業者の姿です。
詳細は下記のブログをご覧下さい
◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/



投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年5月31日 (日) 10時15分

人事総務部ブログ&リンク集 「マスコミアクセスランキング」

人材派遣、人材ビジネス御苑の情報満載

★第1位:「中日新聞社」

☆第2位:「朝日新聞社」

◎第3位:「日経BP」

●第4位:「日本経済新聞社」

●第5位:「日本テレビ放送網」

○第6位:「日本放送協会(NHK)」

○第7位:「中国放送」

○第8位:「名古屋テレビ放送」

○第9位:「テレビ東京」

○第10位:「讀賣テレビ放送」。

全文は下記のブログをご参照下さい

◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部 | 2009年5月18日 (月) 19時59分

雇用創出プラン(福祉雇用)の提言
◆本当に「雇用のミスマッチ」なのか
世界同時不況による異常な雇用危機に対し、地方自治体が実施しているのは2~3ヶ月間の臨時短期雇用のため、期限到来で終了してしまいます。次の一手をどのように考えているのでしょうか。実際のところ、政府や厚生労働省は掛け声だけで地方自治体に一任(丸投げ)です。マスコミやエコノミストは、人材が不足している「介護・農業・林業」分野に人材をシフトすべきと、ひたすら「雇用のミスマッチ」を訴えています。しかし、この雇用危機に対して、一体誰が真剣に考えているのか疑わざるを得ず、製造業に従事している非正規労働者の生活を真剣に心配しているとは思えません。
雇用創出プランは下記のブログにてご確認下さい
◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年3月 9日 (月) 23時38分

「派遣切り」・「2009年問題」・「雇用対策」は何処へ
◆急務は「現在の雇用」
政治(与野党共)もマスコミもジャーナリストも、皆大変だと言葉だけの心配に留まっているように思われます。と言うのは、「労働者派遣法改正案」は見直し審議待ちの足踏み状態で進展しておらず、その先が見えないため、「派遣切り」に歯止めがかかりません。「派遣切り」を加速させている要因は、政府及び厚生労働省の不十分な対応にあるということを理解しているのか疑いたくなります。いったい「雇用対策」はどこへ行ってしまったのでしょうか?とくに製造派遣の「抵触日(3月1日)」が過ぎてしまった現在のわが国において、最重要視されるべき課題はまさに「雇用対策」です。「雇用対策」ができれば、わが国の景気の底支えは可能です。雇用が底支えできれば、将来に対する不安も緩和されます。何といっても一番は「現在の雇用」です。数年先の雇用対策では意味がありません。
◆救済手立ては「雇用創出プラン(福祉雇用)」!
詳細は下記のブログをご参照下さい
◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年3月 9日 (月) 23時38分

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