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2009年2月 1日 (日)

アメリカ資本主義の問題点

 早稲田大学グローバルCOE《企業法制と法創造》総合研究所が1月31日に緊急シンポジウム「アメリカ発金融危機の総点検ーー日本からのメッセージーー」を開催した。報告者6人のテーマは多岐にわたったが、原丈人デフタ・パートナーズ・グループ会長の「公益資本主義と新基幹産業再生」に最も刺激を受けた。

 昨年の世界的な金融・経済危機以来、原氏は総合雑誌や経済週刊誌などに登場するようになった。米欧などで事業を行なうとともに、バングラデシュで途上国の経済発展に貢献するビジネスを展開するなど、独創的な事業家であり、「公益資本主義」という耳慣れない用語の提唱者でもある。シンポジウムにおける報告は、大半がこれまでの発言と重なっているが、じかに聞いたため、感銘することが多かった。その中から、アメリカ資本主義の問題点について述べたところを紹介すると――

 金融・経済危機については、証券化されていない不良債権の問題が今後出てくるし、ヨーロッパも不良債権問題が大きくなるので、次々に破綻が起こると指摘した。また、オバマ政権のメンバーもウオールストリート出身者だから、対症療法にとどまる、いずれまたバブルになることを憂慮していると語った。

 ウオールストリートの人々はこれまでのあやまちにこりず、また誤りをおかすだろう、今後、温室効果ガスの排出権取り引きなどでもうけようとし、日本が一番食い物にされるだろう、とも述べた。

 今回の危機を生み出した米国資本主義の問題点として、原氏は、「会社は株主のもの」という誤った考え、および時価会計、減損会計などを指摘した。新しい産業を創り出すには、長年にわたる研究開発および市場化のための資金が必要である。ベンチャービジネスの場合、そのリスクを引き受けてくれるリスクキャピタルおよびベンチャーキャピタルの存在が必要である。また、株式を公開している企業は、内部留保を蓄積して研究開発などに振り向けるのが望ましいという。

 ところが、いまやリスクをとらないベンチャーキャピタルに変質している。ヘッジファンドなどが企業の大株主になると、アクティビストが登場して、内部留保を吐き出せと言ってくる。彼らは、短期間に多くの利益を得ようとするから、新技術・製品の開発に力を入れることを好まない。それに、企業の経営者はストックオプションで個人的に莫大な利益を得ることが可能だが、在任期間が平均5年ぐらいだから、当面、会社の利益縮小につながる研究開発費などを減らそうとする。したがって、公開会社のストックオプションは百害あって一利なしである。原氏はあらまし、以上のように語った。

 日本はIT産業のあとの基幹産業を主導できうる力を持っている。それが実現できれば、税収が増えるので、税金を安くすることができる。そのためには、日本国内で、企業が研究開発に投じた費用を経費として落とせるようにする、個人が出資したときも税額控除などを適用する、という優遇策が望ましい。それを採用するよう、日本の財務省に提案しているという。 

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