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2009年2月12日 (木)

怒らない国民

 郵政民営化をめぐる麻生太郎首相の発言が野党の批判を招いているばかりか、与党である自民党の内部にも波紋を巻き起こしている。小泉純一郎元首相、中川秀直元幹事長ら郵政改革に関わった人たちは首相を公然と批判するようになっている。首相の支持率も下がり続けているが、自民党内には、麻生氏を引き摺り下ろして4人目を選ぶという賭けに出る勇気もない。自民党の議員にしてみれば、首相の口にフタをしたいような気持ちではないか。

 一方で、民主党の小沢一郎代表は議会を欠席して、都内を選挙対策で回ったりしていたという。それも、ちょっとひどい。政権交代なら次の総理大臣になる立場のリーダーが、こういう自分中心の人では、いま一つ、民主党の人気が上がらないのも当然だ。

 100年に一度の世界経済危機といわれ、正規、非正規を問わず、雇用カットが毎日のように報じられているのに、この危機に適切な対応をすべき政治が完全に空白状態である。それなのに、国民は目にみえる形で怒りの行動を示していない。米欧で行なわれるようなデモはほとんどない。かつて私たちが学生だった何十年か前には、政治に対する抗議の学生デモが当たり前のように行われていた。いまは、それとは全く違う。果たして、いまの国民は怒っていないのか。

 2010年3月卒業予定の大学生の就職環境はことし3月卒予定者とは様変わり。その先、2011年3月卒については、もっと厳しい就職環境になる可能性が高い。そうだとすれば、正社員になるチャンスは相当に減る。非正規雇用であろうと、仕事に就ければよしとしなければならないかもしれない。

 そうした暗い将来を考えたら、若者は立ち上がって、政治に注文して当然だと思うのだが、いまのところ、そんな気配は全然ない。最近、有名私学の学生(2年)と話したとき、「デモをするとか、そんなことは誰も考えてはいない」と言っていた。

 豊かになり、ゆとりができたのか、日本の社会が成熟したというのか。いまや、通勤電車や長距離列車、航空機などが事故や異常気象などで動かなくなっても、乗客は怒らない。仕方がないじゃないかとそれを受け入れる。しかし、それと一緒に、社会に対し、日本人は怒るべきときに怒ることをもしなくなったように思える。受身的には、自分自身のできる範囲で対応策、自衛策を講ずるが、問題解決をめざして皆と一緒に働きかけて事態を変えようという能動的な行動には出ない。

 民主主義はたまたま行なわれる投票において1票を投じるだけで終わりというものではない。いまの国民は、メディアの政治批判(それが適切かどうかという問題もある)を見聞きして、なんとなく満足しているようにも思える。それでは、日本の政治はダイナミックには変わらない。国民の政治に対する意思表示の方法は投票のほかに、デモとか、NPOによる活動などいろいろある。外交にしても、内政にしても、国民がもっと自らの考えを見える形で示すことが日本の将来をよくするはずだ。 

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