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2009年2月 4日 (水)

湯浅誠氏(年越し派遣村村長)の話で知ったこと

 NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの事務局長であり、日比谷公園に設けた「年越し派遣村」の村長を務めた湯浅誠氏が4日、日本記者クラブで「派遣村から見た日本社会」と題して話をした。「雇用のセーフティネットからこぼれる人が増えている。いまの日本は落ちやすく、一旦落ちたら昇れないという「すべり台社会」である。シェルターの確保など当面の貧困対策を行なうとともに、働けば生活できるようにするなどの防貧対策が必要だ」と語った。

 防貧対策として、①貧困の世代間連鎖を解消するため、教育・住宅にかかる費用を政府がもっと負担する、②非正規労働の拡大や派遣・期間工切りで、働いても生活できないから、労働で生活できるように派遣法改正などを行なう、③ほとんど機能していないつなぎ融資制度の要件を緩和し、雇用保険制度を有期雇用の実態に即したものに改める、④生活保護を利用しやすくする、の4つを挙げた。

 また、大量の失業者が出てくると予想されていることを踏まえ、湯浅氏は、3月までに緊急になすべきこととして、①シェルター(緊急避難所)と総合相談窓口の開設、②非正規労働者生活・就労支援基金の設置、③中途解約に対する派遣先責任(損害賠償)、④寮からの退去規制(借地借家法の適用)を挙げた。

 大企業が福利厚生で安く提供している社宅・寮とは違い、派遣会社が用意する寮の家賃は市場価格か、ないしは派遣会社のもうけを上乗せした金額になっている。したがって借地借家法が適用されるから、会社をやめたからといって、借家人はすぐさま退去することはない、と湯浅氏は語った。〔これを聞いて、私は、目からうろこが落ちる、という思いがした。〕

 湯浅氏によれば、「すべり台」から落ちた人には5つの選択がある。家族のもとに身を寄せる、自殺する、犯罪をおかす、ホームレスになる、NOと言えない労働者になる、だという。5つ目の「NOと言えない労働者」は、寮付きの求人であればとびつくため、賃金などの労働条件については要求できない。そのため、世の中の賃金水準を切り下げることになり、労働市場が壊れると言う。「家族のもとに身を寄せる」というのも、親が仕事から引退し、年金暮らしで医療費負担に苦しんでいたり、核家族化で頼りにくいなどの問題があるという。

 正社員の賃金を減らして非正規雇用に回せという意見がある。正社員の賃金は50歳台前半まで右肩上がり(あと急激に下がる)になっているが、湯浅氏は教育費や住宅費がかかるから支出も同様なカーブになっていると指摘。教育や住宅に必要なお金を個人が負担するというのを、西欧などのように政府が負担する形に改めることで、賃金カーブをもっとフラットにしていくべきだとの考えを表明した。〔これも傾聴に値する見解である。〕

 企業にとって非正規労働者は「とどのつまり人ではない。人と思っていない」。企業は非正規労働者を「企業の屋台骨を支えていく仲間ではない」と思っている。それは「日本が企業社会だという裏面だ」。そう語る湯浅氏は「しかし、横断的な外部市場が大量に生まれた。非正規雇用は1800万人から2000万人になっている。それを踏まえてどうするかを考えねばならない」と問題を直視するよう政府などに求めた。

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