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2009年2月22日 (日)

地球温暖化問題と原子力発電の役割

 1月に開催された日経環境シンポジウム(主催=日本経済新聞社、特別協力=経済産業省資源エネルギー庁)の基調講演および議論の要約を新聞紙上(2月22日付け日本経済新聞朝刊)で読んだ。「核燃料サイクルが切り開く未来~原子力発電の環境性と経済性を考える~」という題のシンポジウムで、もっぱら原発推進の話だが、茅陽一氏(地球環境産業技術研究機構副理事長兼研究所長)の基調講演の内容もそうだが、議論のほうもいささか偏っているのではないか。

 茅氏は、2050年には産業革命以前に比べて2℃以内の気温上昇にとどめるというEUの提案は不可能であると論証し、先進国が温室効果ガスの排出量をいまの半分に減らし、途上国は省エネに努めるぐらいの結果になりそうだと予想する。そして、CO2排出量が発電、鉄鋼、運輸、民生の4部門で8割近い先進国がCO2を削減するには、どの部門でも電気をどう作るかがカギになるという。いろいろな発電法があるが、基幹は原発だと述べ、日本における原発の老齢化、新設、稼働率や、核燃料サイクルの確立を課題として挙げている。

 地球温暖化対策として、一般に、省エネとともに、再生可能エネルギーへの転換が唱えられる。事実、太陽光、風力といった非化石燃料エネルギーへの投資が少しずつ増えてきている。しかし、増え続ける世界のエネルギー需要の太宗をまかなうのは依然、石油、石炭、天然ガスといった化石燃料である。そこで、世界的に、CO2を排出しない原子力発電を見直す動きが出てきた。西欧、北欧でも。ジェームズ・ラブロックが2006年に出版した『ガイアの復讐』で原子力発電を未来のエネルギー供給源だと述べたが、世界もその方向に一歩踏み出したのは間違いない。

 しかし、原発については、安全性が高いといっても、万一この狭い日本で大きな事故が起きたら、人が住めない地域が相当広いのではないかと懸念せざるをえない。地震多発国だけに、原発はもっとも日本に不向きではないかとも思う。いままで無事だったから、将来とも安心だとは言えない。手放しで原発礼賛するのはどうか。

 太陽光、風力には出力が変動するという難点があるので、調整用のバッテリーなどが必要だ。しかし、発電効率の向上、バッテリーの改善などで、再生可能エネルギーのコストが下がる可能性がある。再生可能エネルギーについて、現状の問題点ばかりあげつらうのは当を得ない。

 このシンポジウムでは、エネルギー需要の増大を当然視しているように思われるが、今後、大事なのは、いかに省エネ・省資源を徹底するかである。需要を減らすにはどうすればよいかを経済社会のテーマにしなければいけない。都市のありかた、住宅のありかた、交通システムのありかた等々、検討すべきことが多々ある。小宮山宏東大総長が自宅の省エネ実績を触れ回るように、既存技術を使うだけでもエネルギー需要はかなり減るし、温室効果ガスの大幅削減は可能である。それに技術開発を促すインセンティブが必要だ。

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