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2009年3月12日 (木)

与謝野財務大臣の心変わり

 自民党の中で財政健全化の旗振り役をしてきた与謝野馨財務大臣兼内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策担当)が、現在の経済・金融危機に直面して、財政健全化の旗を完全に降ろした。

 昨年には、サブプライム問題の日本への影響は蜂の一刺しか二刺し程度と言っていたのが、3月10日の記者会見では、「今は世界各国が合意しているように、経済回復のためにはあらゆる政策手段をとるという一般的な合意に沿って活動しようと思っています」と述べた。赤字国債の発行も容認するのかとの質問に対して、「あらゆる手段を容認するという意味です」と答えている。

 ここで思い出すのは、1997年秋に橋本内閣のもとで成立した「財政構造改革の推進に関する特別措置法」と、その後である。同法は2003年度までに国と地方の年度財政赤字をGDPの3%以下にする、赤字国債の発行をゼロにする、という内容だった。そのとき、与謝野氏は官房副長官として梶山官房長官を支え、同法成立に努めた。だが、その後の経済危機で、同法は1998年5月に改正され、改革は事実上、棚上げされた。そして、小渕内閣のもとで、財政構造改革停止法が成立し、公共事業を中心とする財政の大盤振る舞いが行なわれた。それが、財政危機をもたらし、今日、さらに危機は深刻化している。

 それなのに、与謝野大臣は、小渕内閣時代に戻るしかないと言っているのである。歴史は繰り返すというが、与謝野氏は、今回の皮肉な役回りをどう思っているのだろうか。あるいは、何とも思っていないのかもしれない。

 昨年8月、まだ福田内閣のとき、経済財政担当大臣だった与謝野氏は「大変緊急を要する事態に直面したときに、それに対応するような行動予算が必要か、あるいは財政規律が必要か、二者択一になることはありうる。そのときは、どっちかをとるという話ではなくて、両方少しずつとるという話ではないか」、「何より大事なのは、バラマキに至らない、ケインズ的にお金を使わない、そういう経済対策でなければいけない」、「単に有効需要を創出することだけを目的にしたお金の使い方ではいけない」と言っていた。

 今回の経済・金融危機を想定したかのようにも受け取れる発言である。だが、その後の与謝野大臣の発言は相当にぶれている。内外の急激な状況変化に追従しているだけのようにみえる。3月10日の発言はかつての借金王、小渕首相を連想させる。

 同氏は記者会見でも国会答弁でも誠実かつ当意即妙の受け答えをするので、与野党の中でも評判がいい。しかし、どうも、内外情勢の認識は官僚からの受け売りのようにも思える。100年に一度の危機をトータルにとらえ、日本国の歩むべき道を指し示す深みのある話を聞きたいと願うのは無いものねだりであるらしい。

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