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2009年3月29日 (日)

上山信一著『自治体改革の突破口』の財政赤字制御策

 自治体改革のアドバイザー、上山信一慶応大学教授が最近、『自治体改革の突破口― 生き残るための処方箋―』を出版した。その中で、「財政赤字をどうやって制御するか」を書いている。「政府の財政はサラ金地獄と同様の制御不能に陥っている」とし、「この問題は国家全体の財務構造の改革なしには解けない」と言っている。

 日本では財務統制機能が各省庁に分散していて、全体像を把握し集権的に制御する機関が存在しないという。各省庁に任せていたら、不要な事業がやめられない。そこで、総理・官邸が集権的に制御する体制を構築せよと述べている。

 「財政再建にはそのための規律と統制の仕組みづくりが必要だ」という。それには以下の4つの仕組みが必要だという。第1に、マニフェストを掲げて政権をとると、新政権はマニフェストを官僚機構に実践させねばならない。そこで、大臣に「大臣マニフェスト」を作らせる。その前に、大臣は総理大臣および局長と十分に話し合う。重要施策の達成目標と期限を定める。そして、それらが実現できないと、大臣は責任を問われるようにする。

 第2に、各省庁の大臣は、予算や人事の実権を握っている局長や官房長に「局長マニフェスト」を作らせる。局長らに目標と期限を掲げさせ、結果責任をとらせる。

 第3に、各省庁に、経済財政諮問会議同様の、政策を審議・評価する機関を設ける。具体的には、現在の省議に民間人を送り込み、活性化する。この会議は実質的な決定機関とし、大臣は会議を主宰する。

 第4に、税を徴収する、予算を編成する、国有財産を管理するなどには、それぞれの官僚機構があるが、我が国には、「国家レベルの財務を一元的に統制管理する機関が存在しない」という。「政府の負債と資産の実態を把握し、問題点を分析する。その上で毎年の収入(税収)と支出(予算)を同時に制御し、かつ債務の圧縮や資産の売却のあり方、そして資金調達の工夫もする」のが本来の財務だという。したがって、一元的な財務統制機能の確立をという。

 上山氏は「どうやって財政再建、いや制御回復を図るか。原理は単純だ」という。第1に支出削減、そのための地方分権、第2に税収増、そのための大胆な規制緩和による経済活性化、第3に資産の有効利用ないしは売却だとのこと。しかし、実現は容易ではない。なぜなら、政府には倒産リスクがない、市場競争原理も働かない、民主政治は短期の利益誘導で歳出が膨張しがち、特に自治体の議会はその傾向が強いからだという。

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