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2009年3月16日 (月)

規制緩和を一概に否定するな

 ときどき散髪をしてもらいに行くが、東京には10分程度でやってくれる千円カットの店があるので、もっぱらそこを利用している。

 かつては理髪店といえば、洗髪をしてくれたり、ひげをそったりしてくれ、行くと、途中で眠くなったものだ。ゆったりした分、料金も何千円と高かった。当時は、業界に参入規制があり、かつ理髪店は地域で協定料金を定めていたので、消費者は価格が高くてもそれを受け入れるしかなかった。それが規制緩和により、新規事業者は届け出れば開業可能になった。

 その結果、理髪だけに限り、短時間でやるというビジネスが出現し、定着した。ひげをそるとか、洗髪するとかは自分の家でやれば、おカネはかからないから、消費者にとってはありがたい。忙しい現代人にマッチしたビジネスモデルである。

 ただ、既存の理髪店(床屋さん)には、千円カット店の出現は自分たちの生存を脅かすものとうつる。このため、県によっては、理髪店の組合である理容生活衛生同業組合が千円カット店は衛生上、問題があるとして、洗髪設備の設置を義務化する条例をつくるよう求めている。

 一般に規制といっても、いろいろある。国民の命を守るための規制などは必要に決まっているが、他方で、既存業者の権益を守るとか、役所の職員の権益を守るというものもある。ところが、最近は、規制緩和というと、新自由主義とやらと一緒くたにして、すべて日本を悪くした元凶みたいな扱いをされる。

 しかし、規制の緩和や撤廃というと、十把一絡げで消費者や生活者にとっていけないことばかりだろうか。以前から言われていたように、サービスを供給する側の既得権益を打破し、競争を促進するとか、生活者、消費者にメリットを与えるという点を大事にしなくていいのだろうか。

 16日付け日本経済新聞朝刊の「経済教室」に「サービス拡大へ規制緩和」という見出しの記事が載っている。筆者は鈴木亘学習院大学准教授で、介護・保育には大量の潜在的な需要があり、それに応えるには既存供給者の既得権益を打破する規制緩和を実施すべきだと主張している。「昨今、一部で悪名が高い規制緩和こそが、財源が乏しい中で、最も理想的な景気・雇用対策なのである」と言う。

 私たちは宅配便をひんぱんに利用するし、コンビニで払い込みをしたりする。いま当たり前のように思っているサービスやビジネスなどを調べたら、規制の緩和・撤廃のおかげで実現したものが多いことに気付くはずだ。製造業の派遣切りといったいくつかの現象を根拠に、多角的な検討もしないまま、一方的に規制緩和を断罪するのはいかがなものか。

 まさに政治にそれが欠けているところだが、冷静にさまざまな角度から問題を検討したり、議論したりする風土がいまの日本社会には必要である。

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