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2009年4月 6日 (月)

映画「グラン・トリノ」、東大博物館「維新とフランス」etc.

○先週末、東京はあちこちで満開の桜をめでる人出があふれるほどだった。私個人は、若い頃、およそ桜とか、梅の花などには関心がなかったのに、いまでは近所の一本桜にさえみとれるようになった。ひまになったせいだろうが、季節の移ろいに感じやすい“お年頃”になったからでもあろう。

 先週、試写会で「グラン・トリノ」を見た。クリント・イーストウッドが製作・監督・主演の最新作。妻に先立たれた一人暮らしの偏屈じじい。息子たちとも折り合いが悪く、軽重浮薄な世の中に腹を立てることが多い。隣に引っ越してきたアジア系一家の若者と次第に心が通うようになる。そして‥‥。ストーリーや場面はいささかありきたりの感じがするが、私はイーストウッドの演技が気に入った。

 高齢化社会における年寄りの生き方は難しい。また、グローバル化で、外国人がたくさん入ってきて、社会的、文化的な摩擦が生じやすい。アメリカ社会に起こっている問題を切り取って映画化するイーストウッドの作品はいつも高いレベルに仕上がっている。一ヵ月前に見た「チェンジリング」もイーストウッド監督の作品だった。映像のすばらしさでも、ストーリーの点でも、すぐれていた。

○東京大学総合研究博物館で3月28日から始まった日仏交流150周年記念特別展示「維新とフランス」を見た。徳川幕府の要請で、フランスは日本に軍事顧問団を派遣するなどしていたから、幕末と明治新政権の頃、緊密な関係にあった。そこでさまざまなコレクションなどを集めて展示したもの。中には明治天皇の写真が3枚ほどあった。

 展示にはたくさんの写真があり、チョンマゲを結った武士もいれば、洋装になった人たちもいる。それらセピア色の写真を見ると、とても昔のことのように思えるが、考えてみると、たった150年ぐらい前の日本なのである。親戚のおばあさんは大正初めに生まれ、90歳代でアタマもしっかりしている。彼女の祖父母は江戸時代の末期に生まれ育った。したがって、江戸時代の暮らしや文化の記憶が親戚のおばあさんに伝えられている可能性がある。いずれにせよ、150年前は遠い大昔ではない。しかし、いまとは全く違う世界である。どうして、たったの150年間で、暮らし、仕事など、あらゆることが別の世界のように変わったのか。その疑問が強く残った。

○エジプトの有力新聞「アル・アハラム」のオサマ・サラーヤ編集長の会見が3月末にあり、聞きに行った。かつては政権と一体の新聞だったが、今は違う意見を述べることもできると語った。

 彼によると、西欧型の民主主義をとっているイスラム国家でも、宗教過激主義が一旦、政権をとったら、政権を放さない、意見の違いを許さないという。世俗の独裁型政治より暴力的で、生きても死んでも苦しめられるという。

 イランは被選挙人、選挙人を委員会が選ぶ。多くの人はそれから洩れる。そして、そういうことに反対すると、特別の犯罪人とされ、宗教的な政権に反対する極悪人とされるという。これはイスラムでもなんでもない。独裁にならない仕組みをつくったうえで民主主義を導入するようにしなければいけないと語った。そして、エジプトでは、最近、宗教に基づく政治結社を認めないことにしたという。

 3月19日のブログ「イスラム世界と民主化」でレザー・アスラン氏の話を紹介した。それとの対比で、オサマ・サラーヤ編集長の意見は興味深い。

○3月末、高橋洋一氏が高級時計などを盗んだとして書類送検されたという記事にはびっくりした。ブログには何回も彼の本や論文などを取り上げた。事件の真相がどうだったか知らないが、彼は天才肌の人にありがちな、子供のまま大きくなり、常識からまま逸脱するというタイプの人間ではないか、と思った。好意的すぎる見方かもしれないが。

 音楽家とか文学者などには、常識を破る行動をする人が少なくない。破天荒な行動に走る人もある。そういう人たちと同列に扱うのはどうか、という疑問もあるだろうが、「埋蔵金」を発見したりした彼の業績は、こつこつと論理を積み上げる数学的な思考とは別である。異才である。今後、彼が社会的に抹殺されたまま終わるのか、どこかで異才ぶりを発揮するのか、関心がある。個人的には後者であってほしいと思うのだが。

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