« 塩崎恭久議員のトップリーダー論 | トップページ | 消費税と社会保障給付のセットで所得格差は是正されるとの説 »

2009年4月 4日 (土)

「禍転じて福となす」か、世界的な金融経済危機とサミット

 ロンドンで開催されていた二十ヵ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)が終わった。首脳宣言には、世界金融経済危機を解決するには、グローバルな対応策が必要だとして、各国の財政・金融政策拡大、IMFの資金強化や金融監督・規制の強化などで合意したことが盛り込まれている。

 そうしたグローバルな取り組みの内容もさることながら、現在の金融経済危機を解決するために、G20のような首脳会合が開催されたことに注目したい。中国などの台頭により、G7といった先進国だけで世界の主要な問題を処理できる時代はもう終わったことを意味するからだ。

 東西冷戦が終わったとはいえ、世界の軍事、経済などの覇権争いはいまなお続いている。だが、金融サミットのような体制を超えた首脳会合は、政治体制の異なる国々の首脳が一堂に会するので、首脳間の意思疎通をはかることにつながる。ひんぱんに会い、意見を交わし、一緒に飲み食いすることで親しみを感じたり、共通認識を得たりするようになる。お互いに、相手の考え、意図、背景などが理解できるようになれば、協調しやすくなるだろう。自国の利益にしか目がいかなかったのが、世界全体の利益と自国の利益との調和を考えるようになることも期待できよう。

 それは、地球温暖化対策など、人類の将来をゆるがしかねない課題についてもプラスに作用しよう。

 この世界同時不況を経て、世界は大きく変わるだろうという見方が強い。例えば、米国や日本の新車需要は過去のピークに戻ることはないといわれている。ピークオイルなどがさかんに言われたように、資源を大量に消費する20世紀型の経済社会構造が行き詰まることは明らかである。そのことを、企業も、人々も、この世界不況に直面して、無意識的にせよ、感じとっているようにみえる。3R(リデュース、リユース、リサイクル)や再生可能エネルギーへの転換などが先進国に定着しつつあるのもその表れではなかろうか。

 いまは雇用縮小による生活不安を除くため、G20首脳宣言にあるように、各国が従来の常識を超えた財政政策と金融政策とをとるよう求めている。しかし、個人消費にせよ、企業の生産にせよ、縮小均衡し、以前の水準に戻ることはないだろう。この危機はあとで振り返れば、先進国では量の追求から質の追求への歴史的な転換点になるのではないか。

 ところで、日本の麻生総理大臣はG20で大きな働きをしたのか。IMFの資金拡充には米、EUと対等の金額を提示したようだが、日本の経済規模や財政状態を考えると、背伸びし過ぎの感がある。日本外交はカネを出すときだけ、やたら張り切る傾向があるのはいかがなものかと思う。首脳たちの記念写真のどこにいるのかなと探したほど、目立たない位置に麻生首相が写っていたのは、案外、会議での活躍度評価を表していたのかもしれない。

 ロンドンにおいても、麻生首相は、日本は金融危機を経験済みだとして不況克服対策にいち早く手をつけていると、余裕ありげな発言をしている。だが、世界同時不況で、GDPの落ち込みが最も大きいと予測されているのは日本である。しかも財政状態の悪さでは抜きん出ている。日本の株価が持ち直しているのは景気にプラスに働くから歓迎だが、企業経営は全体としてまだ悪くなる傾向にある。麻生さんの経済実態認識にも問題がありそうな気がする。

|

« 塩崎恭久議員のトップリーダー論 | トップページ | 消費税と社会保障給付のセットで所得格差は是正されるとの説 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「禍転じて福となす」か、世界的な金融経済危機とサミット:

« 塩崎恭久議員のトップリーダー論 | トップページ | 消費税と社会保障給付のセットで所得格差は是正されるとの説 »