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2009年4月19日 (日)

人材派遣協会理事長が指摘する問題点

 先週、日本人材派遣協会理事長の本原仁志スタッフサービス・ホールディングス代表取締役社長の会見を聞いた。“派遣切り”などの問題を考えるうえで重要な問題点を指摘していた。私が関心を抱いた指摘を紹介すると、おおよそ次のような内容だった。

 2004年、製造業への派遣が認められた背景には、製造業の現場の人手不足があった。若者のものづくり離れだ。高校卒で社員として採用しても、半数が3年以内にやめてしまう。このため、大企業は別として、中小企業はスピーディーにその穴を埋めることができないから派遣に頼らざるをえなかった。今後、製造の領域では請負化に向かうが、小さい製造企業では派遣が残るだろう。

 製造派遣が増加したのは国際競争の激化もあるが、偽装請負をやめた結果、約100万人いたうちの半分が派遣に移ったからである。製造現場では800万~900万人が働いているが、そのうちの10%が派遣だった。

 “派遣切り”はもっぱら自動車、電機の業種だが、これらは単純労働だから。化学業界などの製造現場は業務がもっと複雑だから、派遣労働者を使っていない。

 人材派遣業は労働力の需給を調整する役割を持つ。第1に、求人と求職のズレを補正する。自分でハローワークに行って仕事を探すことができない、自信のない人を受け入れている。第2に、労働条件に制約がある人材(例えば、女性、高齢者)を活用する。第3に、企業に代わって教育訓練などを行ない、人材を育成する。読み書きソロバン、社会人としてのマナー(あいさつ、基礎的なコミュニケーション、時間を守るなど)、ホウレンソウ(報告、連絡、相談)などに力を入れている。

 業務知識の教育や、キャリア教育(目標設定教育)も行なっている。彼らは目標設定がなかなかできない。それができれば、学ぶという動機につながる。

 派遣労働者は高スキル層が約20万人、中スキル層が約100万人、低スキル層が約50万人といわれる。業界では中スキル層は正社員化を支援する。低スキル層に対しては就業意識やビジネスマナーに課題があるので、基礎的な訓練を行なう。

 中学、高校の職業教育見直しが必要。実社会に即した教育内容にして自立を促すべきだ。即ち、職業意識と生活設計力の形成、労働社会保険や税、年金の仕組みの教育が必要だ。ころころ転職するのもこういうことを知らないからである。

 介護労働者が不足する介護施設には、介護労働者を受け入れるうえで、労務管理や育成をどう改善していくかの問題がある。お互いが気配りする必要があるが、いまは、行って2日ぐらいでやめてしまうことが多い。だから、介護施設の管理者の教育を我々にもさせてほしいと言っている。

 派遣労働者のうち、職場の正社員と不仲なのは3分の1だ。その原因は、正社員の雇用条件に問題があることが多い。正社員は年功序列型賃金なので、単純業務をやっている年配の正社員と一緒だと、「働きもしないのに高い賃金をもらっている」ということで、仲が悪くなりやすい。

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コメント

政権交代 民主党は派遣労働者の「雇用安定化の道標」を示せ

◆派遣法改正論議が焦点に

労働者派遣法改正論議と同時に、派遣社員の雇用安定化の道標(みちしるべ)が必要です。派遣社員が減少したとは言うものの、約350万人の派遣労働者がいることは現実です。この現実を無視して、派遣法改正はあり得ません。

政策実施に財源論議が必要であるように、派遣法改正には雇用確保の道標が必要です。厚生労働省及び自由民主党は派遣法改正を実施すると謳っただけで、派遣先や派遣元に大きな動揺が走り、現在の雇用状態を作り出しました。“人混みに石を投げ入れた後は知らぬ存ぜぬ”が雇用の不安定化を更に加速したのです。「雇用安定化の道標」を無視して法案成立に走れば、更に約300万人の失業問題も社会問題化します。

◆民主党は経済界との協力による“産業の空洞化”を食い止めろ

この課題については、下記のブログ記事をご参照ください。

★当ブログ記事(08/12/9日付):「福祉雇用体制の構築を急げ」。


詳細は下記のブログをご確認下さい
◆“人事総務部ブログ”
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部 | 2009年9月 4日 (金) 21時51分

厚生労働省による史上最大の“派遣切り”

◆厚生労働省の横暴か暴挙か・・

 厚生労働省が派遣会社の許可制度見直しを決めました(3/26)。労働者派遣法改正案が未成立の現段階で、何の議論も無しに人材派遣会社を廃業へ追い込む暴挙というほかありません。この制度見直しが今秋から実施されたなら、派遣労働者は雇用を奪取され、今後2年以内に約200万人以上の「派遣切り」が現実のものとなります。そして、人材派遣会社のほぼ90%は廃業に追いやられるという非常事態を招くことになるのです。

◆人材派遣会社を潰すつもりか

◆廃業に追い込まれる人材派遣会社

◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部 | 2009年5月18日 (月) 14時50分

人材派遣会社の資産要件変更には「労働(非正規)セーフティネット」を

◆唐突な制度変更は新たな失業者を生む
09年10月に労働者派遣法の資産要件が変更になります。その変更により、次回更新時に派遣会社は縮小や廃業に追い込まれる会社が続出するのではないかと推測します。では、労働者は一体どうなるのでしょうか。「労働者のセーフティネット」をしっかりと構築してからの変更なら皆が理解しますが、この唐突な許可制度変更は、当該会社の会計問題により、安定して働いていた社員の突然の失職を招くことが懸念されます。
◆高くなる労働者の就業リスク
◆まずは労働環境整備を
この金融不況の渦中、政府は何を考えて「資産基準見直し」をするのか理解に苦しみます。ただ単に、派遣業界の縮小と淘汰の政策としか思えません。なお且つ、派遣元企業が破綻した場合の「労働者のセーフティネット」がきちんと構築されて初めて実施されるべきでしょう。従って、資産要件の制度変更実施は、改めて労働者の立場から労働者の誰もが安心して働ける環境整備をして臨むことが最も重要と考えます。

全文は下記のブログを御覧下さい
http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年4月23日 (木) 07時58分

厚生労働省による史上最大の“派遣切り”

◆厚生労働省の横暴か暴挙か・・

 厚生労働省が派遣会社の許可制度見直しを決めました(3/26)。労働者派遣法改正案が未成立の現段階で、何の議論も無しに人材派遣会社を廃業へ追い込む暴挙というほかありません。この制度見直しが今秋から実施されたなら、派遣労働者は雇用を奪取され、今後2年以内に約200万人以上の「派遣切り」が現実のものとなります。そして、人材派遣会社のほぼ90%は廃業に追いやられるという非常事態を招くことになるのです。

◆人材派遣会社を潰すつもりか

◆廃業に追い込まれる人材派遣会社

◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年4月23日 (木) 07時57分

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