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2009年5月17日 (日)

佐野眞一氏の鋭いメディア批判

 先週、ノンフィクション・ライター、佐野眞一氏が日本記者クラブで、最近の雑誌・新聞・テレビ報道について見解を述べた。「週刊新潮」が掲載した朝日新聞阪神支局襲撃事件実行犯の手記が全くのでっちあげだった件について、新潮社が被害者面して、きちんと反省せず、責任をとらなかったことを厳しく批判した。

 同社は心ある編集者が上に意見具申できないような体制下にあるとして、「東京のど真ん中にサティアンがあった」と評した。また「タイタニック号が沈むとき、阿鼻叫喚の声があがるはずだが、新潮社には、それがない。山一證券も、ダイエーもそうした声があがらなかった。皆、自分だけは助かると思っている」と語った。

 「週刊新潮」には福田和也、櫻井よしこの両氏がコラムを書いている。「福田和也の闘う時評」と「日本ルネッサンス」である。佐野氏は「2人とも、この問題を取り上げなかった。それは問題だ。新潮社のほうから取り上げないでくれということだったら問題だし、2人がそれを受けたとしたら、もっと問題だ」とも指摘した。

 講談社が出版した『僕はパパを殺すことに決めた』(草薙厚子著)は「供述調書の丸写しであり、三文物書きを信じた講談社は重大な罪を犯した」という佐野氏は、出版ジャーナリズムにおける編集者の劣化、即ち、人を見破る心眼が機能不全に陥っているのではないか、という趣旨の発言をした。

 編集者の劣化に関して、佐野氏は「脳みそがあせをかくこと」が必要だと述べたあと、新聞社がこれまで行なっている記者の教育・訓練では「まともな記者なら5年でだめになる」と言い切り、「子を亡くした母親のところとか、水俣病の患者のような、言葉を失うような現場に記者を叩き込むこと、そこで一からやり直させないといけない。さもないと、新聞も雑誌も将来がない」と語った。

 とことん、現場を歩き、かつ徹底的に資料にあたる佐野氏のエネルギッシュな著作には日頃から敬服している。今回の会見では、山谷のドヤ街について語ったのが強く耳に残った。「かつては山谷に行くと殺気を感じたが、いまは感じない。いまは五千人住んでいるが、うち、コンスタントに仕事にありつくのは百人。住人の65%は生活保護を受けている」、「山谷での最後は孤独死だ。日本の貧困はまだましというのは間違い。孤立感とワンセットになっている」と。

 佐野氏の話を聞いたあと、民主党の代表選挙の候補者の会見を聞いた。鳩山由紀夫氏が新代表に選ばれる過程の報道にも接した。自民党政治のひどさには絶望的な気持ちになることが多いが、「愛」がどうのこうのという民主党の鳩山新代表の言葉にも救いがなさそうに感じた。

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