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2009年5月13日 (水)

経団連の温室効果ガス中期削減目標についての意見

 ポスト京都議定書の国際的な枠組みと、それに対する日本の中期目標の設定が官民の大きなテーマとなっている。それに関して、日本経団連の意見と、斉藤環境大臣の批判が報じられている。政府の中期目標検討委員会が提案した6つの選択肢について、経団連の御手洗会長が最も温室効果ガスの削減幅が少ない第1案(2005年比4%減、1990年比4%増)を適切だという意見を述べたのに対し、斉藤大臣は「世界の笑いものになる」と批判したからである。

 日本経団連の見解は月刊誌の「経済Trend」5月号に詳しい(ホームページにも掲載)。それを通読すると、「京都議定書で日本は不公平で、不利な排出削減目標を押し付けられた。その轍は踏みたくない。最もエネルギー効率の高い日本が他国から排出権を買わなければならない不公平な目標には反対する」ということを主張しているように思う。そして、経団連は、国ごとに何%削減という目標を設定するというEUの主張とは違うセクター別アプローチの導入を求めている。

 しかし、経団連の主張には疑問を抱く。第1に、このままでは、地球環境問題というか気候変動問題が人類の近い将来に大変な危機を招来することはほぼ確実だという危機感がない。第2に、世界全体として、温室効果ガスの発生量をいつまでに、どのくらいまでに減らさねばならないか、という目標設定意識もうかがえない。

 そして、第3に、世界全体の削減目標を具体的に設定し、それを世界各国にどういう考え方、基準で割り振るか、かつ、その目標を受け入れてもらい、実行してもらうためにどのような対策を用意するか、というグランド・デザインが全くない(セクター別アプローチ自体は意味があるが、全体構想のパーツにとどまる)。経団連がいまなお受身的な、外圧的発想にとらわれているのは残念だ。

 経団連の言うように、日本はエネルギー効率が非常に高い。それなのに、さらに効率を高めようとすれば、コストは飛躍的に上がる。したがって、ほぼ一律の削減率を決めるようなことは日本の競争力を大幅に弱める。だが、日本は省エネ先進国だとして、他国にばかり温暖化対策を求めるのは、現実的に難しい。あえて、多目のハンデを背負って、技術革新などのパイオニアであり続けようという国の生き方もあるのではないか。

 6つの選択肢のうち、第1案は、既存技術や現状の政策の延長線上で効率を改善するというものである。経団連がこれをよしとするのは、日本企業のイノベーション意欲が失われたことを意味するのかもしれない。それならそれで、別の意味で大問題である。御手洗会長は世界同時不況で縮み上がっている経営者を叱咤激励してこそリーダーである。

 この時点で、斉藤環境大臣に批判されるような発言をするのではなく、エコ・カーをはじめとする日本企業の高い技術革新力をもっと評価し、産、学、官の協力でさらにそれを強化するというチャレンジの姿勢を打ち出していいのではないか。  

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