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2009年6月 7日 (日)

人口300人の集落「やねだん」の地域再生

 南日本放送が昨年5月29日に放送したドキュメンタリー「やねだん~人口3百人 ボーナスが出る集落~」は、鹿児島県鹿屋市の過疎高齢化集落だった柳谷集落(愛称、やねだん)が補助金に頼らず、住民が共に力を合わせて再生・活性化を進めてきた12年の記録だという。ビデオで見ると、柳谷自治公民館の豊重哲郎館長が地域経営のために智恵をふりしぼり、常に先頭に立って苦闘した記録でもある。

 6月6日に立教大学で催された公開講演会「やねだん学事始」には、豊重さんやこのドキュメンタリーのディレクター・キャスターの山縣由美子さんらも出席。まだまだ国などからの補助金に依存しきっている市町村が多い中で、「やねだん」のように人の絆や感動を基礎とする地域経営が、21世紀のコミュニティの望ましい1つの姿であることを出席者に強く印象づけた。

 いまや、全国各地からおおぜいの人が「やねだん」を視察に来る。しかし、山縣さんによると、それらの人たちは視察後に「我々のところには、豊重さんのような人がいないからなあ」という感想を洩らし、それを聞くと、豊重さんは悲しくなるという。

 それで思い出したことがある。地方自治体の議員や職員は実によく視察旅行をする。国内だけでなく、海外にもよく出かける。予算があるから、それを消化するため、視察と称して“物見遊山”的な出張をすることが多い。当事者としての強い問題意識があって、懸命に学ぼうという姿勢はほとんどみられない。「やねだん」を訪れる人たちも、おそらくはそうした類いであろう。地方再生ができるか否かは本当は地域の人たち自身の肩にかかっているのに、人々の意識はまだお上依存、中央政府への依存から脱していないのである。日暮れて道遠しだ。

 南日本放送は九州の南のローカルな民放である。さまざまな賞を受け、ビデオは英語版、韓国語版までつくられている。しかし、全国で放送されたわけではない。どうして、このように優れた作品が一ローカル局だけでしか放送されないのか。そこに、いまの民間テレビ放送界の問題がある。

 5月に、日本記者クラブ賞を受けた阿武野勝彦氏は東海テレビの人で、「裁判長のお弁当」、「光と影 光市母子殺害事件 弁護団の300日」、「約束~日本一のダムが奪うもの~」、「黒と白~自白・名張毒ぶとう酒事件の闇~」といった社会派ドキュメンタリー番組をつくったのを称賛された。しかし、これらの番組も、全国のネットに乗ってはいない。これらをビデオで見て、「どうして、こうした番組が全国ネットで放映されないのか」と疑問に思う。

 東京にいて、民放の愚劣な番組ばかりをみせられると、全く、資源の浪費だなと思ってしまう。スポンサー(広告主、広告取扱業者)にも反省はないし、民放もスポンサーの言うなりで、社会の中でどのような役割を果たしているか、自省したことがなさそうだ。CSR(企業の社会的責任)なんてまともに考えたこともないように思われる。

 

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コメント

やねだんて、結局のどころ重さんとMBテレビが作り出した幻影なのかな?
芸術家達もやねだんて名前が使えず、重さんがやねだんの権利を主張して、我が物顔でいる。地元の人達はだいぶソッポを向き始めている。

投稿: ななし | 2010年8月28日 (土) 22時04分

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