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2009年6月23日 (火)

セブンーイレブン・ジャパンに欠けていたこと

 日本人のよき慣習の一つに、食事前の「いただきます」と食事をすませたときの「ごちそうさま」という言葉・しぐさがある。食事をつくってくれた人への感謝の気持ちや、素材である米や野菜、魚などを育てたり獲ったりした人々への感謝であると同時に、それらを超えた神に対する感謝を示している。ご飯茶わんに一粒も残さないように食べるのも、そうした感謝の気持ちとつながっている。「もったいない」という感覚はそれと表裏一体である。

 日本で一番のコンビニであるセブンーイレブン・ジャパンが加盟店に対し、販売期限が迫った弁当や総菜を値引きして販売しないように強制していたとして、公正取引委員会が22日、独占禁止法違反として排除命令を出した。これは、不公正取引というビジネスの観点からとらえるだけでなく、コンビニというビジネスモデルのありかたを改めて考えてみるいい機会のように思える。

 値引き販売しないと、売れ残って廃棄した分の仕入れ原価がまるまる加盟店の負担になるし、廃棄物処理費用も相当かかる。これに対し、値引き販売すれば、売り上げ収入が増えて加盟店の採算にプラスになる可能性が大きいし、捨てる量が減る分、処理費用は少なくてすむ。それに、「もったいない」に表現されるように、大量に捨てることへの心理的抵抗もある。公取委の排除命令は、後者を支持するものである。

 セブンーイレブン・ジャパンは値引き販売を認めると加盟店間の値引き競争になりかねないと主張しているという。しかし、コンビニで働いた人が廃棄量の多さに驚くように、大量生産ー大量消費ー大量廃棄のビジネスは資源・環境問題の深刻さを考えるともはや許されない。そういう時代認識がセブンーイレブン・ジャパンには欠けているらしい。

 余談だが、食品廃棄物を農業でたい肥などとして使って、できた野菜などを自社のレストランで使うというのを自慢するレストラン、ホテルなどがある。これなども、そもそも廃棄物を出さないというくらいの工夫をしているかといえば、疑わしい。3R(Reduce、Reuse、Recycle)が示すように、まずReduce(排出削減)が第一に求められるのである。

 個人的にはコンビニを利用することは皆無に等しい。それはそれとして、コンビニは便利さの象徴とも言うべき存在である。だが、気になることもある。かつては朝7時から夜11時まで営業していたのが、いまでは24時間営業だ。深夜の利用者も少なくはない。しかし、深夜も続けて営業することへの疑問も京都から提起されている。社会にとってプラスだけでなく、マイナスもいろいろあるからだ。

 現代の先進国は、商品・サービス・エネルギーの大量消費や利便性などを追い求める成長優先の発想から、生活の質、ワークライフバランス、省エネ・省資源、環境保全などを重視する方向へ転換しつつある。そういう時代の流れを踏まえれば、コンビニ業界としても、利便性を強調するだけでなく、時代に即した社会的、経済的な責任は何かという視点でビジネスのありかたを根本から見直すべきではないかと思う。

 セブンーイレブン・ジャパンはコンビニの経済性をとことん突き詰めた点ですごいが、未来志向でCSRを深く追求することが望まれる。

  

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