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2009年7月29日 (水)

バラ色すぎる民主党のマニフェスト

 民主党の総選挙公約(マニフェスト)を読んだ。「ムダづかい」、「子育て・教育」、「年金・医療」などに関するマニフェストを見ると、これまでの自民党・公明党政治がいかに主権者である国民の多くを軽視ないし無視してきたかを示す文書だと解釈することができる。

 一般会計と特別会計を合わせた国の予算(200兆円余)には相当のムダづかいがあるから、それを切ることによって歳出を減らすことができるのは確かだ。その削減分を子育て・教育などに振り向けるというマニフェストの構成はなかなか魅力的である。「生活が第一」、「生活を良くすれば、経済が良くなる」を基本理念としてきた民主党ならではのマニフェストである。

 したがって、民主党政権になれば、マニフェストに掲げた「子ども手当」、「高速道路の無料化」などの歳出は確実にカネが出ていく。しかし、その財源を生み出す作業は途方もなく大変だ。

 公共事業、人件費等、庁費等、補助金等の歳出を徹底的に効率化して、ムダづかい、不用不急な事業を根絶するというのは、言うは易いが、現実にはとても難しいし、時間もかかる。具体的にどの個別予算がなぜムダづかいと言えるのか、あるいは不用不急と言えるのか、それを誰が検討し、決定するのか、関係者の意見を聞くのか‥‥。ということで、新しい財源を生み出すまでには、1年も2年もかかりそうだし、思っていたほど新規財源を捻出できない可能性もある。政治決断で強引に特定の歳出を切るということは想定しうるが、それをやっちゃ、おしめえよ、だ。

 「生活を良くすれば、経済が良くなる」という民主党の基本理念のせいだろうか、グローバルな経済競争の中で、いかに日本の企業が活力を保持していくか、という視点が欠如している。

 日本経済が良くならない限り、生活が良くなることは望めない。しかし、中小企業の法人税率引き下げは公約しても、大企業の国際的に高い法人税率を下げるということは言っていない。いまでも日本の大企業の国際競争力に疑問符が付いているのだから、民主党のマニフェストに従えば、日本経済の競争力はさらに低下して、雇用や暮らしの状況が悪化する可能性はかなりある。

 環境対策では、2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で25%減らすと公約。そのために、排出量取引市場を創設し、地球温暖化対策税(ガソリン税、軽油引取税を一本化)の導入を検討するなどとしている。その一方で、ガソリン税などの暫定税率を廃止し、高速道路の原則無料化を挙げている。これでは、クルマが温室効果ガスを大量に排出するのを促進し、2020年に25%減という高いハードルを達成しにくくするだけである。

 民主党のマニフェストを読んで気になったのは、破綻寸前の日本財政に対する危機感の欠如である。自民党・公明党の連立政権は社会保障などで膨らむ財政需要をもっぱら国債発行でまかなってきた。民主党もそれと同じ意識でいるのだろうか。打ち出の小槌があるわけではないことを主要な二大政党が本気で意識し、財政改革を常に意識した財政運営をしない限り、日本の将来は暗い。  

 マニフェストで自民党・公明党政権との違いを際立たせたはいいが、民主党政権が約束する国民の暮らしや生活はいささかバラ色すぎる。その分、将来世代は厳しい状況に追い込まれよう。自民党・公明党もそうだが、ばらまき政策で票を集めるという民主党の基本姿勢からは、国民は賢明ではなく、愚昧である、という認識がうかがえる。

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2009年7月26日 (日)

企業会計ベースでみた日本国の財務データ

 国の会計は「出るを計りて入るを制す」とされる。初めに「出る」(支出)があり、それを賄うために「入る」(税収、公債発行)を操作するというわけで、多額の公債を発行する近年の日本財政にはそれを強く感じる。このほど財務省が発表した07年度「国の財務書類」をみてもそうだ。

 この「国の財務書類」には、①一般会計の財務データ、②一般会計と特別会計とを合算し、省庁間の債権・債務等を相殺消去した企業会計ベースの財務データ、③これに日本郵政株式会社、年金積立金管理運用独立行政法人など214の独立行政法人・特殊法人を連結した財務データ、の3通りのデータが載っている。

 3つのうち、一番、国の財務実態を表しているのは③だろう。これを紹介すると、07年度の「業務費用」は152.5兆円。GDPの約3割に当たる。当期純損失相当額(財源不足)は16.6兆円に達した。貸借対照表の「資産」は829.4兆円、「負債」は1100.5兆円。債務超過額は271.1兆円である。

 「負債の部」のうち、「公債」は418.2兆円、「郵便貯金」が180.7兆円、「公的年金預かり金」144.1兆円など、「資産の部」では、「有形固定資産(公共用財産など)」268.3兆円、「貸付金」242.3兆円、「有価証券」213.0兆円などが主なものである。

 ちなみに、「負債の部」のうちの「公債」が①では544.5兆円であり、②では675.7兆円となっている。この②の内訳をみると、普通国債543.7兆円、財投債等142.1兆円などとなっている。②と③の「公債」の金額が大きく異なるのは、独法・特殊法人が保有する公債が大きくて、相殺消去が257.3兆円にものぼるためとみられる。

 また、「資産」と「負債」の差額である債務超過額は①では349.0兆円、②では282.9兆円、③では、すでに記したように271.1兆円である。「公債」と比べると相当少ない。ただ、財務省は公共用財産などは売却して債務の返済に充てることが基本的に予定されていないとして、「資産・負債差額が必ずしも将来の国民負担となる額を示すものではない点に留意が必要」と注書きしている。言い換えれば、国民の負担はもっと大きいことを示唆している。

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2009年7月23日 (木)

「働かざる者食うべからず」

 衆議院の解散が決まった21日、舛添要一厚生労働大臣が記者会見で、自由民主党の原点は「働かざる者食うべからず」だと語っている。まず自助であり、次にお互いに助け合うという共助があり、それでも駄目な人には公助だということでやっているという。

 自民党はどんな政党か。今度の総選挙でそれが問われている。舛添大臣の発言はそうした基本的な立脚点について語っている。現実に自民党の議員たちがそれを自民党政治の原点とみなしていたかといえば、たぶんに疑問があるが、いま、同氏はそうした原点を語れる数少ない政治家だと知った。

 舛添大臣は「一生懸命納税している方に対してモラルハザードがあってはいけない」とし、失業者が「真面目に(職業訓練の研修)授業に出て再就職をしたら、それ(生活費)にかかったお金は(返済を)免除する。しかし、お金だけもらって真面目に授業も受けない、再就職もしないのでは、税金を払っている皆さん方に顔向けできない」、「そういうことをきちんと言う勢力がなければ、何でもかんでも有権者の人気取りということで八方美人でいい顔をする。しかし、財源はどこから持ってくるのか。ずっとやるなら、恒久的な財源が必要だから、消費税増税なり何なり言わないといけない」と述べている。

 また、「経済成長戦略に則ってGDPを増やし、その富をセーフティネットに使うという発想が自民党にないといけない」と語っている。

 さらに、「一番の問題は、こういう政策づくりについて、きちんと公開してやっていないといけない」と言っている。

 自民党のマニフェストがどんな内容になるか、党内の関係者しか知らないというのは明らかに異常である。舛添大臣の発言は与野党の両方に向けられたものだと思われる。

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自民党の“瓦解”で、「政権選択」の段階は過ぎた

 21日に衆議院が解散になった。自民党・公明党か民主党か、という政権選択をかけた総選挙になるとメディアは報じている。しかし、投票よりも何よりも、解散以前に勝負はついていて、メディアは政権交代だと結果がわかっているはずだ。自民党が内部から瓦解していくような政権末期をみれば、民主党の圧勝とみるのは当然だろう。

 ただ、こうした政権交代の流れについて、中島岳志北海道大学准教授が22日付け朝日新聞朝刊の座談会で興味深い発言をしている。即ち、「今回の総選挙では、政権交代すら争点ではなくなり、単に自民党を引きずりおろしたいという欲求が支配的になりつつあります」、「今は自民党を引きずり降ろせという祭りになっているだけ。メディアも世論もいい加減にした方がいい」、「だけど多くの人はそんな議論よりも、自民党がごたごたして転げ落ちていくさまを見る「快楽」に傾斜している。小泉劇場型の選挙と同じです」と。

 引用した部分だけでは中島氏の真意が誤解されるおそれもあるが、こういう時期には中島氏の提起する視点はとても大切だと思う。

 今期限りで国会議員を退く岩國哲人氏(民主党)の発言も注目に値する。21日付け朝日新聞夕刊によると、「議員は選挙に懸命で、世界のなかで日本が何をやるべきかという問題意識が不足している」と指摘、また、消費税について「国民に説明し納得を得る先見性と勇気が必要」と述べている。同氏は6月7日付けの日本海新聞に「日本の政経手術」と題するコラムを書き、政治も経済も大胆に改造することを提案しているが、その中でも消費税のあり方をまじめに考えるよう主張している。

 岩國氏はビジネスへの造詣が深く、国際的なセンスもすぐれているが、民主党内で重用されたという感じはしない。そこに民主党の限界を読み取ることもできよう。

 すでに、選挙運動は始まっている。だが、総選挙の公示前とはいえ、自民党も民主党もきちんとしたマニフェストを発表していない。自民党、民主党とも立候補予定者たちは、この国の将来についての持続可能なビジョンや政策体系もなしに、とにかく走り出している。そして口にするのは、全体の整合性もなく、かつ財源などのきちんとした裏付けもない“おいしい”公約である。と同時に、相手政党のアラを探し、批判しまくる。

 そんな選挙はまともな選挙と言えないのではないか。さらに言えば、そうしたいい加減な政党、その候補者たちから衆議院議員のバッジを胸に付ける人が出るのかと思うと、暗澹たる思いがする。でも、そんなことはいい、とにかく政治を変えたいんだという国民の気持がいま大きな潮流となっていることは確かだし、それが閉塞状態の日本を変えるきっかけとなりうることは否定できない。自民党と民主党との違いがあまりないことがそうした“乗り換え”をしやすくしているのだろう。

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2009年7月19日 (日)

経済同友会のアピールが、財政健全化法を求めた

 経済同友会は例年、夏に軽井沢セミナーを開催する。ことしのセミナーは「新しい国づくりに向けた覚悟と行動を求める」と題するアピールをまとめた(17日発表)。その柱の1つが財政の健全化で、早急に「財政健全化法(仮称)」の制定を求めた。

 その法の内容については、①政府の規模(国民負担率)の上限を定め、その範囲内での財政運営を行う(Pay as You Go 原則の徹底)、②社会保障給付総額の伸びを名目経済成長率の範囲内に設定する、などを実施するとともに、新たな財政健全化目標を示すべきだとしている。

 また、アピールでは、緊急経済対策といえども、「賢明な支出」の条件に照らして優先順位を定めるべきであるとし、財務省と有識者の第三者から成る監査機関「緊急経済対策評価委員会(仮称)」を設け、政策目標や期待された効果に比べた事後評価を行うよう求めている。

 また、同日、経済同友会版「骨太の方針」を発表した。それによると、日本財政の持続可能性が懸念されているとして、その原因の1つである巨額の財政赤字を減らしていくために財政健全化への取り組みを挙げている。財政健全化法については、「新たな財政健全化目標を制定し、与野党間で目標を共有する」としている。

 また、「財政健全化目標の再設定」として、①次年度予算:集中改革期間を通じ、「政府の大きさ」(一般歳出規模の対GDP比)を07年度水準以下にする、②短期:基礎的財政収支の赤字幅を毎年1~2%ずつ削減する、③中長期:国民負担の増加を含めた改善措置を講じ、債務残高のピークアウトを図る、と述べている。

 そして、新しい歳出削減計画を策定し、行政効率化、規制改革と一体になった歳出削減を進める、としている。

 同友会版「骨太の方針」の「財政健全化の基本的考え方」は「歳出・歳入・経済の三位一体改革」だという。即ち、「歳出削減・効率化」と「国民負担の見直し」と「経済成長の実現」の3つから成る。歳出削減では、「これまで聖域視されてきた社会保障や地方への財政移転などの支出も将来世代のため抑制に取り組む」と言い切っている。

 横道にそれるようだが、アピールでは「規制改革基本法(仮称)」を制定するよう求めた。規制改革会議の後継組織は民間人から成る第三者組織とし、独立した事務局を有し、関係省庁に対する勧告権や調査権を持つよう求めている。

 経済同友会は提言はたくさんするが、その実現のために活動することはまずない。したがって、ほとんど言いっぱなしで終わる。しかし、財政危機の深刻さは十二分にわかっているはずだし、将来世代に対する責任も感じているだろう。ここらで、“どういう会?”なんぞと言われないように、会員が挙げて財政健全化に本腰を入れて取り組んでいただきたい。

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2009年7月15日 (水)

忘れ去られた社会保障制度のむだづかい

 「骨太の方針2006」によって、政府・与党は社会保障費の毎年1兆円程度の自然増を毎年2200億円ほど抑えてきたが、2010年度予算に関わる「骨太の方針2009」ではこの抑制方針が消えた。民主党のネクスト経済産業大臣の増子輝彦参議院議員も「毎年2200億円の削減で、地域医療は疲弊し、医師不足問題も深刻化しています」(言論NPOの政策討論会での発言)と1兆円程度の社会保障費増を当然視している。

 7月14日の日本経済新聞朝刊「経済教室」においても、上村敏之関西学院大学教授が「少子高齢化で増大する社会保障費をどの財源で賄うべきかは、来る選挙で問われる重要な政策課題である」と記している。

 少子高齢化に伴い、医療費を始めとして社会保障費が増加し続けることは誰しもが認めるところである。しかし、日本の経済が停滞し、税収が伸びるどころか、当面は減る公算が大であること、一般歳出に占める社会保障制度の割合が突出して大きいことを考えると、社会保障費を自然に増えるがままに任せておくのではなく、不公正を正し、ムダをなくす工夫・努力をすべきだろう。

 医療を例にとれば、昔から「社会的入院」が医療費を膨らませてきた。そこに政府が本気でメスを入れたことはないのではないか。診療報酬は開業医中心の日本医師会の意向にそって決められてきた。したがって、病院のほうが割を食い、勤務医の給与および労働条件は開業医より不利である。開業医の診療報酬を引き下げ、その一部を勤務医に振り向けることも考えていい。

 保険診療報酬請求にあたって、カルテを電子化し、完全にコンピュータ化することになっているのに、いまだに医師会の抵抗が続いている。一部の病院や開業医は不正請求を行なっているとみられるが、電子化すれば、不正請求など異常な報酬請求を摘発しやすくなる。また、診療報酬請求を審査する厚生労働者傘下の公益法人について、かねてレセプト審査の単価が高すぎるという批判があるが、いっこうに変わらない。天下り先を護る厚労省の態度が審査費用の引き下げを妨げているのである。

 医薬分業により、都会では病院の周りなどに薬局が何軒も開業している。医師の処方箋にもとづき薬を販売しているが、薬代のほか、情報管理料、指導料などさまざまな費用を患者に請求する。別の薬局に行っても、同様な費用を患者は払わねばならない。医師から薬の効能や飲み方の説明を受けているので、薬局では薬を受け取るだけで十分なことが多い。薬代よりも、その他の費用のほうが多いこともある。違う病院・医師が出す薬の複合作用を避けるには、薬局ごとの情報管理では不十分だ。そこにも改善の余地があり、それが即、医療費削減につながる。

 医療の保険制度は組合健保、国民健保などいくつもあり、保険料だけでは足りなくて税金の投入を受けている保険もあれば、後期高齢者医療制度に多額の拠出(寄付)を余儀なくされている保険もある。複雑怪奇で、保険によっては、加入者が医療費のごく一部しか負担していなくても、すべて自分たちの保険料で運営されていると錯覚することにもなっている。その分、過度に医療サービスを受けることにもつながっている。

 日本の社会保障制度は我々、市民にはほとんどわからないようになっている。それがムダを生みやすくしている。社会保障費が増えて当たり前だ、という発想は、ものごとの本質を考えない怠慢そのものである。

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2009年7月13日 (月)

都議選の興味深いデータ

 東京都議会議員選挙は民主党の圧勝に終わった。都民は都政よりも国政に対する批判・不満・怒りをこの選挙にぶつけたような感じがする。

 都議選の当選者の顔ぶれをみると、民主党を中心に大幅な若返りがみてとれる。千代田区(定員1人)で26歳の民主党候補が当選したのは驚きだが、今回、30歳代の民主党当選者は、大田区2人、世田谷区2人、中野区1人、練馬区2人、荒川区1人、北区1人、葛飾区2人、江戸川区1人、武蔵野市1人、三鷹市1人、府中市1人、日野市1人、北多摩第一1人、北多摩第三1人、北多摩第四1人、計19人にも及ぶ。大半が新人である。これに26歳の当選者と40歳~45歳までの10人とを加えると30人。民主党の当選者54人の半分を超す。

 少子化に加え、若い世代は投票に関心が乏しいので、政治は人口の割合の高い高齢者を優遇する傾向があるといわれてきた。結果として、社会保障制度にみられるように、若い世代や将来世代にツケを回すなど、世代間の格差は相当大きいとされる。このため、年代ごとに投票権の数を分け、若い世代の投票権を多くしたらどうかという意見すら出るようになった。

 しかし、今回、投票率が10%ポイント超も上がったように、若い世代がかなり投票所に行ったようだ。そのせいか、年齢が30歳代の若い候補者に向けてフォローの風が強く吹き、多くがトップ当選を果たした。それに、自民党、公明党にも、わずかだが、30歳代の当選者がいた。“ロスト・ジェネレーション”を元気づける現象である。

 若い世代は、知識・経験の不足はあるが、馬力があり、実行力は相当なものがある。彼らが東京都議会でかなりのウエートを占めることになったので、都議会を活性化するだけでなく、所属する民主党をも突き上げることだろう。今回当選した若い議員は次回の選挙で実績を問われ、落選の憂き目にあうかもしれないが、彼らが活躍すれば、ややもすれば議員在籍年数に比例して党の要職に就くといったこれまでの年功序列を打破する契機になるかもしれない。

 最近、30歳代の自治体の首長が少しずつ誕生。直近では奈良市長がそうだ。明治維新は30歳代が大いに活躍したが、そんな昔と重ねてみたくなる。戦後の60余年は言うなれば江戸時代。国をめぐる情勢が大きく変わり、にっちもさっちもいかなくなって、若い世代が決起し、中高年世代がそれを支持する。そんな時期なのかもしれない。こじつけにすぎないが‥‥。

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2009年7月11日 (土)

選挙“口約”にはうんざり

 東京都議会議員選挙の投票が12日に行われる。家の周りや駅周辺では、候補者の宣伝カーが走り回っていたが、やたらとがなっているだけで、ほとんど騒音としか感じなかった。それも、まだ候補者の名前を叫び、よろしくと言うものが少なくなかった。

 そういう選挙運動では、どんな政策を実現したいのかを訴えるのは難しい。選挙民としては選挙公報(私の住むところの区の公報)を読むしかないが、そこには、ムダづかいをやめる、医療・介護を守る、まじめに働く人に就職支援する、中小企業・商店街を守る、働く母を応援する、共生を大切にする、安心・安全で住みよい環境にする‥‥といった誰もが賛成する抽象的な表現が目立つ。東京オリンピック招致の反対、新銀行東京から撤退、築地市場の移転中止、○○病院の産科・小児科再開など、具体的な政策も挙がってはいるが、概して、総論的な内容に偏っている。

 総論的な公約は過去の選挙でも繰り返し唱えられたが、辛口に言えば、ほとんど実現したためしがない。それは、評価のものさしがないせいもある。いずれにせよ、バラ色の公約が実現していたら、都民の生活はすばらしいものになっていたはずだ。

 本気で公約の実現に政治家のいのちをかけたという話も聞かない。それらを総合すると、選挙運動中に示した約束は、たぶん、選挙民を釣るための単なる“口約”にすぎないのだろう。

 選挙公報を読んでいて、もう1つ気がつくのは、公約の大半がおカネがかかるのに、そのカネをどこから生み出すのかを誰も言っていないことだ。オリンピック招致反対でいくら浮くから、それをどこそこにいくら充てるといった主張をしている候補者もいなさそうだ。ムダづかいは相当あるだろうと想像するが、具体的に何がムダづかいかを誰がどうやって判断するのか。そういうところまで踏み込まないと、現実の成果は生まれない。

 地方自治体の議会や議員が自治体政府と対峙し、独自に政策の形成、立案を行う力を持たなければ、真の地方自治はありえない。そのためには、政策形成を支えるスタッフが相当数必要だし、政党・会派として政策づくりの体制をつくる必要がある。

 現実をみると、役人に依存しきった議会、議員がいまだ多数を占めている。当選したら、肩で風を切り、住民・選挙民とのコミュニケーションを全然しない議員が東京都でもほとんどではなかろうか。

 地方自治とか、地域主権とかいうものは、福嶋元我孫子市長が言うように「主権者である私たち(住民)が自治体や国に権限を分ける」というとらえかたが浸透して初めて本物になる。都議会議員の候補者のうち、幾人がそれをきちんと理解しているのだろうか、と思うと、選挙に行こうという気持ちが萎える。 

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2009年7月 8日 (水)

潮流の変化

 衆議院総選挙が行われる前だが、個人的に話をした人たちの全員が、いまの自民党・公明党連立政権は敗れ、民主党が勝つと予想している。よく知っている官僚OBで、骨の髄まで自民党的なエリートでさえ、自民党の下野は必至と思っている。東国原宮崎県知事をかつぎ出して挽回をはかろうという動きは自民党の末期的な症状だろう。

 自民党が政権の座を手放すとなると、思い出すのは、1993年8月の宮沢内閣の総辞職と細川内閣の誕生だ。8つの政党・会派から成る細川内閣は短命に終わり、1994年4月誕生の羽田内閣にあとを譲るが、これはわずか64日で終わった。そして1996年1月、自民党、社会党、新党さきがけの連立政権(村山内閣)という形で自民党は政権党に復帰したのだが、野党になった自民党政治家のショックは大きかった。

 官僚とべったりだったのに、自民党が野党になったとたん、霞が関の官僚は自民党への扱いを格下げにした。すなわち、それまでは局長が出向いて説明していたのが課長しか来なくなったとか、といったたぐいのことである。冷や飯を食ったことがなかった自民党政治家は激しく怒ったらしい。そうした“浪人暮らし”が辛くて、自民党は村山社会党党首を総理大臣にまでして政権政党に戻ったのだが、その“浪人暮らし”が目前に迫ってきている。

 民主党の政治家がパーティなどであいさつしたり、シンポジウムなどで話したりするとき、最近は聞いていて、総選挙での勝利、すなわち政権を握ったつもりの話しっぷりに少しずつなってきているように感じる。逆に、自民党の政治家の中に、野党になったときを想定した発言がときどき聞かれる。勝敗がすでに決したと覚悟しているのだろう。

 ある業界団体のパーティーでは、従来、少なかった民主党議員のあいさつが増えた。聞いていると、自民党の相似形みたいな面があるようにも思えた。

 ところで、おもしろいもので、官僚たちは最近、にわかに活気づいているらしい。この経済危機で大規模の景気対策を実施することになったし、日本政策投資銀行などを使って経営ピンチに陥ったビッグビジネスを救済するなど、政治が「大きな政府」に転換したからだ。十分に検討されたとは言い難いようなプロジェクトなどに政府のカネ(予算)がついて、さすがの官僚もとまどっているといううわさも聞く。

 麻生総理大臣がいつ解散を決めるかなど、目先の出来事をフォローするのもいいが、事態は自民党の敗北、民主党の勝利を折り込みずみで、その先を読む段階のようである。 

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2009年7月 5日 (日)

財務省による予算執行調査

 財務省が3日、「平成21年度予算執行調査」の結果を発表した。20年度の予算のうちから14省庁の73件(事業)を抽出し、そのうちの調査を終えた57件について発表したもの。調査結果は事業等に関するものと庁費、契約等に関するものとに分かれており、事業等に関する調査は必要性、有効性、効率性の視点で調べたという。その結果によると、すべての件(事業)で見直しが必要だとしており、全部または一部の廃止を求めるものもある。

 73件(事業)は予算編成過程で執行の実態についても詳細に調査すべきだと財務省が判断したもので、予算額は全体で2兆1千億円(朝日新聞3日付け夕刊)。一般会計がほとんどで、特別会計、独立行政法人も1件ずつ含んでいる。

 だが、特別会計、独立行政法人、特殊法人のほうが予算のむだづかいが多いといわれているのだから、そっちのほうももっと調査してほしい。会計検査院は決算書が出そろってから本格的に検査に入るから、各省庁にしてみれば、とっくにすんでしまったこととして、何を言われてもあまり痛くもかゆくもない。

 57件の個々の件(事業)をみていくと、競争入札をすべきなのに、実質的に指名発注につながるような条件を設けるなどして国の方針に違反するケースなど、明らかに犯罪に等しいことが行われていたりする。天下り先との癒着による可能性が大きいが、それはさておき、こうした違反を、きちんと処罰してもらいたい。いまの官僚主導の政治は、そこがきちんとしていないから、国民から見放されるのだと思う。

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2009年7月 3日 (金)

民主党政調会長代理は話がうまい

 言論NPOが1日に開催した「自民党×民主党政策公開討論会」を聞いた。自民党は園田政調会長代理、民主党は福山・長妻の2人の政調会長代理が登壇した。私の関心を引いたところのいくつかの発言を紹介すると――

 園田=①少子化で、現役が高齢者を支える構図は行き詰まった。消費税引き上げで国民全員で支えるようにする。②官から民へ、大きな政府から小さな政府へというのは無理。社会保障をみればわかる。中くらいの政府が正しい。③日本はこれからも経済大国であり続けねばならないのか、議論が必要だ。それが日本を背伸びさせることになるのではないか。

 福山=①税のむだづかいを直す。予算を横を通じて総組み替えする。一般会計・特別会計を通して予算配分の見直しをする。②人が資源だ。格差が広がっても教育の機会だけは維持する。ナショナル・ミニマムとして子供を育てていく。③参議院選挙の勝利で民主党は仮免許をもらった。今度は国政を運営する免許をいただく選挙だ。ホップ・ステップ・肉離れにならぬようにしたい。④官僚は優秀。機能不全の修正を我々がやる。⑤マニフェストは国民との契約という基本的認識だ。財源と具体的政策目標などはマニフェストとして出す。

 長妻=①政府のありかたを国民に奉仕するものに変える。生活者の立場からすべてを組み替える。②政府の借金は類をみないほど大きい。今年度は44兆円もの借金をする。これは消費税で賄うとすると17.4%に相当する。③いまは優先順位の低いところにカネが流れる仕組み。政権交代した1年目にこうした浪費に徹底的にメスを入れる。④日本人は官僚をコントロールできたことがない。今度はコントロールできるか否かの大勝負だ。我々が政権を握れば、人事評価基準をすっかり変える。マニフェストは国民からの命令書であり、政策実行の武器である。各官庁に貼っておく。⑤医療・介護の技術で世界のプラットフォームを次々につくっていく。国の情報収集能力を世界のトップクラスに引き上げる必要がある。⑥財政再建についてはマニフェストに書くか未定。

 聞き比べると、民主党のほうが話がうまい。ことに長妻氏は演説慣れしている感じだ。キャッチフレーズ的に話すのも巧みである。長妻氏がしょっちゅう言っているHAT-KZ、すなわち、ひも付き補助金(H)、天下りあっせん(A)、特別会計(T)、官製談合(K)、随意契約(Z)は、官僚支配政治の諸悪の根源を突いており、日本の構造改革や財政改革を進めるうえでの攻撃目標である。討論会では、このように攻める民主党に比べ、守勢に立った自民党の説得力が弱かったように思えた。

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2009年7月 2日 (木)

経済財政諮問会議の資料を読んで

 7月1日の経済財政諮問会議は与謝野馨氏が担当大臣としての最後の会合だった。でも、提出資料を読んでいると、「言うだけなら何とでも言える」という感じが強くする。

 「平成22年度概算要求基準のポイント」には、「特別会計についても、一般会計と同様、事務・事業を徹底的に見直し、合理化・効率化を促進」とある。一般会計より図体が大きく、「はなれでスキヤキを食べている」といわれる特別会計に対して、この程度のことしか求めていないのである。

 「公益法人向け支出については、国民の視点に立って無駄を根絶し、支出を縮減する観点から徹底して見直し」と書かれているが、こんな抽象的な総論に従って各官庁が歳出を減らすだろうか。

 資料のひとつ「平成22年度予算の全体像」にも、似たような表現がある。「不断の行政改革の推進と無駄排除の徹底を継続していく必要がある」。しかし、政府・与党のやっていることをみれば、これは単なる枕ことばなのだろう。

 また、「安心社会を実現するための雇用を軸とした新規施策については、「安定財源なくして制度改正なし」との原則に立って、税制の抜本的な改革や歳出歳入改革の中で、具体的な内容と併せて所要の財源確保の検討を進める」というくだりがある。本当は何をするのか、したいのかが、さっぱりわからない。

 一方で、財政状況については、危機的な事態にあることを数値で示している。国と地方を合わせた基礎的財政収支の赤字は平成20年度において対GDP比で4%程度、21年度で8%程度にもなるという。利払い費を含む財政収支の赤字は20年度において対GDP比で6%程度、21年度で8%程度に達するという。そして、国・地方の政府債務残高は21年度に163%程度になることが見込まれている。

 このように、欧米をはるかに超える財政赤字は、少子高齢化などとならんで日本の抱える深刻な課題であるはずだ。しかし、いまは景気対策しか考えないといった視野狭窄症が跋扈している。

 経済財政諮問会議は小泉首相と竹中担当大臣のときに官邸主導の政策決定システムとして機能した。その後は、「役者」の交代で、党・官僚主導の古い政策決定システムに戻ってきた。1日の会議の資料に目を通すと、諮問会議がほとんど意味のない組織になったこと、そして、自民党のたそがれの到来を感じる。

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2009年7月 1日 (水)

一般会計と特別会計の連結で見えること

 財務省が「特別会計のはなし」の新版を発表した。日本の国家財政は一般会計よりも特別会計のほうが規模が大きい。しかし、議会では長年、一般会計のほうにばかり目を向けて審議してきたし、メディアも一般会計の内容を中心に報じてきている。だから、特別会計は所管官庁の好きなように運営されてきたという面があるし、各官庁のおいしい利権や天下り先にもなってきた。ここでは、一般会計と特別会計とを一緒にしてみたときの財政規模や、その特徴を見てみる。

 09年度予算の一般会計と特別会計とを連結し、重複部分を除いた純計ベースだと、歳入220.1兆円、歳出206.5兆円。うち一般会計が歳入81.6兆円、歳出37.1兆円なのに対し、特別会計は歳入138.5兆円、歳出169.4兆円に達する。歳出では特別会計が一般会計の4倍超の規模である。

 主要経費別歳入歳出純計額を見てみると、歳入220.1兆円のうち、公債金及び借入金が何と91.1兆円にも達する。租税及び印紙収入は48.0兆円に過ぎない。次いで保険料及び再保険収入35.1兆円などである。

 そして、歳出では、国債費が78.9兆円と一番多い。次いで、社会保障関係費が68.5兆円に達する。これら2つで歳出全体の7割を超える。日本の国家財政が借金まみれ、極端な借金依存になっていることが浮き彫りになる。

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