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2009年7月23日 (木)

自民党の“瓦解”で、「政権選択」の段階は過ぎた

 21日に衆議院が解散になった。自民党・公明党か民主党か、という政権選択をかけた総選挙になるとメディアは報じている。しかし、投票よりも何よりも、解散以前に勝負はついていて、メディアは政権交代だと結果がわかっているはずだ。自民党が内部から瓦解していくような政権末期をみれば、民主党の圧勝とみるのは当然だろう。

 ただ、こうした政権交代の流れについて、中島岳志北海道大学准教授が22日付け朝日新聞朝刊の座談会で興味深い発言をしている。即ち、「今回の総選挙では、政権交代すら争点ではなくなり、単に自民党を引きずりおろしたいという欲求が支配的になりつつあります」、「今は自民党を引きずり降ろせという祭りになっているだけ。メディアも世論もいい加減にした方がいい」、「だけど多くの人はそんな議論よりも、自民党がごたごたして転げ落ちていくさまを見る「快楽」に傾斜している。小泉劇場型の選挙と同じです」と。

 引用した部分だけでは中島氏の真意が誤解されるおそれもあるが、こういう時期には中島氏の提起する視点はとても大切だと思う。

 今期限りで国会議員を退く岩國哲人氏(民主党)の発言も注目に値する。21日付け朝日新聞夕刊によると、「議員は選挙に懸命で、世界のなかで日本が何をやるべきかという問題意識が不足している」と指摘、また、消費税について「国民に説明し納得を得る先見性と勇気が必要」と述べている。同氏は6月7日付けの日本海新聞に「日本の政経手術」と題するコラムを書き、政治も経済も大胆に改造することを提案しているが、その中でも消費税のあり方をまじめに考えるよう主張している。

 岩國氏はビジネスへの造詣が深く、国際的なセンスもすぐれているが、民主党内で重用されたという感じはしない。そこに民主党の限界を読み取ることもできよう。

 すでに、選挙運動は始まっている。だが、総選挙の公示前とはいえ、自民党も民主党もきちんとしたマニフェストを発表していない。自民党、民主党とも立候補予定者たちは、この国の将来についての持続可能なビジョンや政策体系もなしに、とにかく走り出している。そして口にするのは、全体の整合性もなく、かつ財源などのきちんとした裏付けもない“おいしい”公約である。と同時に、相手政党のアラを探し、批判しまくる。

 そんな選挙はまともな選挙と言えないのではないか。さらに言えば、そうしたいい加減な政党、その候補者たちから衆議院議員のバッジを胸に付ける人が出るのかと思うと、暗澹たる思いがする。でも、そんなことはいい、とにかく政治を変えたいんだという国民の気持がいま大きな潮流となっていることは確かだし、それが閉塞状態の日本を変えるきっかけとなりうることは否定できない。自民党と民主党との違いがあまりないことがそうした“乗り換え”をしやすくしているのだろう。

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