« 企業会計ベースでみた日本国の財務データ | トップページ | パンチ力のない自民党のマニフェスト »

2009年7月29日 (水)

バラ色すぎる民主党のマニフェスト

 民主党の総選挙公約(マニフェスト)を読んだ。「ムダづかい」、「子育て・教育」、「年金・医療」などに関するマニフェストを見ると、これまでの自民党・公明党政治がいかに主権者である国民の多くを軽視ないし無視してきたかを示す文書だと解釈することができる。

 一般会計と特別会計を合わせた国の予算(200兆円余)には相当のムダづかいがあるから、それを切ることによって歳出を減らすことができるのは確かだ。その削減分を子育て・教育などに振り向けるというマニフェストの構成はなかなか魅力的である。「生活が第一」、「生活を良くすれば、経済が良くなる」を基本理念としてきた民主党ならではのマニフェストである。

 したがって、民主党政権になれば、マニフェストに掲げた「子ども手当」、「高速道路の無料化」などの歳出は確実にカネが出ていく。しかし、その財源を生み出す作業は途方もなく大変だ。

 公共事業、人件費等、庁費等、補助金等の歳出を徹底的に効率化して、ムダづかい、不用不急な事業を根絶するというのは、言うは易いが、現実にはとても難しいし、時間もかかる。具体的にどの個別予算がなぜムダづかいと言えるのか、あるいは不用不急と言えるのか、それを誰が検討し、決定するのか、関係者の意見を聞くのか‥‥。ということで、新しい財源を生み出すまでには、1年も2年もかかりそうだし、思っていたほど新規財源を捻出できない可能性もある。政治決断で強引に特定の歳出を切るということは想定しうるが、それをやっちゃ、おしめえよ、だ。

 「生活を良くすれば、経済が良くなる」という民主党の基本理念のせいだろうか、グローバルな経済競争の中で、いかに日本の企業が活力を保持していくか、という視点が欠如している。

 日本経済が良くならない限り、生活が良くなることは望めない。しかし、中小企業の法人税率引き下げは公約しても、大企業の国際的に高い法人税率を下げるということは言っていない。いまでも日本の大企業の国際競争力に疑問符が付いているのだから、民主党のマニフェストに従えば、日本経済の競争力はさらに低下して、雇用や暮らしの状況が悪化する可能性はかなりある。

 環境対策では、2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で25%減らすと公約。そのために、排出量取引市場を創設し、地球温暖化対策税(ガソリン税、軽油引取税を一本化)の導入を検討するなどとしている。その一方で、ガソリン税などの暫定税率を廃止し、高速道路の原則無料化を挙げている。これでは、クルマが温室効果ガスを大量に排出するのを促進し、2020年に25%減という高いハードルを達成しにくくするだけである。

 民主党のマニフェストを読んで気になったのは、破綻寸前の日本財政に対する危機感の欠如である。自民党・公明党の連立政権は社会保障などで膨らむ財政需要をもっぱら国債発行でまかなってきた。民主党もそれと同じ意識でいるのだろうか。打ち出の小槌があるわけではないことを主要な二大政党が本気で意識し、財政改革を常に意識した財政運営をしない限り、日本の将来は暗い。  

 マニフェストで自民党・公明党政権との違いを際立たせたはいいが、民主党政権が約束する国民の暮らしや生活はいささかバラ色すぎる。その分、将来世代は厳しい状況に追い込まれよう。自民党・公明党もそうだが、ばらまき政策で票を集めるという民主党の基本姿勢からは、国民は賢明ではなく、愚昧である、という認識がうかがえる。

|

« 企業会計ベースでみた日本国の財務データ | トップページ | パンチ力のない自民党のマニフェスト »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/45776199

この記事へのトラックバック一覧です: バラ色すぎる民主党のマニフェスト:

« 企業会計ベースでみた日本国の財務データ | トップページ | パンチ力のない自民党のマニフェスト »