« 目からうろこが落ちる書物『日本産業社会の「神話」』 | トップページ | 高額医療費のデータに驚く »

2009年9月19日 (土)

鳩山民主党政権のすべりだし

 政権交代がこんなにテレビや新聞などのメディアを面白くするとは思いもしなかった。メディアの報道を見聞きするのがこのところの最大の楽しみである。ジャパン・パッシングだとかナッシングだとか言っていた外国も鳩山新政権の発足による変化に注目しているという。新政権がエンジンを動かし始めたいまになってみると、自民党がそのまま政権を握っていなくてよかったという思いがする。

 岡田外相が核持ち込みの密約について、調査報告書を11月までにまとめて提出せよと外務省の事務方に命じた。前原国土交通相が八ツ場ダムの中止を明言した。原口総務相は国から地方への補助金をやめて交付金を増やす方針を明らかにした。その他の新閣僚もマニフェストに盛った政策の実現を口にした。長妻厚生労働相はじめ、新政権の閣僚は官僚の振り付けを認めず、自分の考えを述べている。それも、十分に実態を知り、考えたことを語っている人が多い。だから、聞いていて、この政権はなかなかのものだと思う。

 ただ、亀井金融担当大臣あたりになると、民主党の政策とはちぐはぐと思われる発言が飛び出す。連立政権の問題点が早くも露呈したように感じる。もう1つ付け加えると、ある大臣が就任あいさつで職員に向かって「私は鳩山首相に一番近い」と強調していたが、アホかと言いたい。新内閣の閣僚は玉石混交というわけだ。

 一方、官僚支配打破をめざした民主党に対して官僚がどう出るか、多少、関心があったが、官僚側の卑屈さがのぞきみえた。選挙前、民主党の農業政策を批判した井出農水省事務次官は赤松農水相に「献身的に徹底的に新大臣を支えたい」と伝えたという(朝日新聞)。官僚は時の政権に忠実に仕えるものだとしても、自民党政権のもと、民主党を批判して間もない時期に、今度は民主党の政策実現に尽くすとよく言えるなあと思う。武士なら恥を知れと言いたい。

 また、民主党政権が温室効果ガスの排出量25%減の方針を打ち出したのを環境省が歓迎していることは明らかだが、小沢環境相を迎えての小林事務次官の歓迎あいさつにはびっくりした。そういう政策の実現をめざす小沢大臣を「お慕い申し上げております」と言ったからだ。霞が関では新大臣を迎えると、歓迎の言葉を述べる習慣があるのか知らなかったから、よけい驚いた。

 民主党が官僚による記者会見をやめさせるという方針を出したあと、じきに引っ込めたのはよかった。官僚が内閣・大臣の方針や意向を無視したり、反した発言をするのは許されない。それは当たり前のことである。しかし、内閣・大臣の方針などの枠の中で説明したりするのはむしろ必要なことだと思う。官僚支配の打破ということで気負いすぎたのだろうが、一歩誤れば、言論の自由、報道の自由を侵しかねない。民主党の中に、そうしたファッショ的な発想が潜んでいるという恐ろしさを垣間見たような気がする。

 お隣の国である中国では、新疆ウイグル自治区における暴動を報道することを認めない。権力者は支配体制を堅固に保つために、権力への批判を封じたがる。しかし、言論の自由や報道の自由は民主的な社会の重要なインフラである。民主党の政策には統制・規制を強めるものがあるが、統制的な発想が行き過ぎると、民主主義の根幹を傷付けることになりかねない。ここは要注意だ。

|

« 目からうろこが落ちる書物『日本産業社会の「神話」』 | トップページ | 高額医療費のデータに驚く »

コメント

はじめまして。
井出農水省事務次官のことを、武士なら恥を知れとおっしゃっていましたが、態度を変えるのは当然のことだと思います。そのまま批判を続けたら省内がゴタゴタします。
(まぁ、だったら民主党批判なんてしなければよかったのですが。)
公務員にはきちんと組織図があって、命令系統が決まっています。トップダウンです。でも、だからこそ、事務がスムーズに行くのです。組織図があるがため、縦割りになっていわゆるお役所的な仕事と批判されるのもそれゆえです。
民主党議員は選挙で勝ったからと言って、まだ自民党の大臣が在任中なのに、官僚(課長)に「母子加算を減らせ」とつめよったりして、売名行為かと思います。(テレビでやってました。)いいたいことがあれば、大臣に言えばいい。もしくは、民主党の人事が決まってから言えばいい。課長なんて一度国会で決まった母子加算を一存でどうこうできる立場ではないのにかわいそう。官僚主導打破を、勘違いしている民主党の一部の議員は見苦しいと思います。
だから、上司である大臣の言うことを聞くのは事務次官としては当然で何の問題もありません。

投稿: たいち | 2009年9月29日 (火) 20時12分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/46247760

この記事へのトラックバック一覧です: 鳩山民主党政権のすべりだし:

» 胡蝶蘭 就任祝い [日本のまつりごと]
いよいよ現実のものとなった政権交代。政治が変わることで我々の生活はどう変わるのか。身近な視点で日本の政治を見つめてみました。 [続きを読む]

受信: 2009年9月19日 (土) 05時55分

« 目からうろこが落ちる書物『日本産業社会の「神話」』 | トップページ | 高額医療費のデータに驚く »