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2009年9月23日 (水)

『経営にカリスマはいらない』(森一夫著)で知る企業経営の難しさ

 日本の高度成長時代、大企業の経営トップはなんと楽だったことか。社長としての任期中に形相が変わるほどの深刻な経営課題に直面するのはまれ。基本的には、「おみこし経営」で、下から持ち上げてくる決済案件に承認のハンコを押していればよかった。

 これに対し、現代の日本企業10社を例に、経営刷新の過程を描いた『経営にカリスマはいらない』(森一夫著、日本経済新聞出版社)を読むと、国内市場をベースに発展してきた日本の企業が、技術革新とグローバル化、IT化などで激化する世界競争に直面して、どうやって戦える企業に変身したか、そのために経営トップがどのようにリーダーシップを発揮したか、その苦闘の様子がわかる。

 同書によると、「固定観念、前例、因習、慣行など、様々なしがらみに迷わされず、発想にワクをはめる呪縛を断つ経営が、集団の個々の力を解放する新しい日本型経営の進むべき道である。偶像を不要とする、人間の人間による人間のための屈託のない経営が、いま企業を革新する」という。

 そして、乱世に必要な経営者の条件は次の5つだという。①現場で血となり肉となる仕事を十分にやってきている、②失敗経験など、修羅場を経験している、③傍流を歩んだり多様な仕事をしたりして、複眼的なものの見方を身に付けている、④仕事を通して感動的な体験をしている、⑤損得、金銭を超えた価値観を養っている。

 なるほどと思う。変身しきれない多くの日本のビッグビジネスについても、こうした経営革新を遂げていってほしいと願う。

 ところで、このようなビジネス界のニーズに沿った教育、人材育成がこの日本で行われているのだろうか。試験問題に対して、いち早く正解を書けるようになるだけでは、受験競争に勝ち抜くことができても、上記のような人間力を備えた人物になるのはなかなか難しい。

 いま、日本の大学および学生の質が低すぎるとして問題になっているが、民主党政権のもとで、世界の大学の実情を踏まえ、思い切った教育改革を推進してほしいと思う。

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