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2009年10月29日 (木)

しっかりせよ、経済界のリーダー

 政府は日本郵政の経営陣をがらりと変えた。斎藤次郎元大蔵省(現財務省)事務次官を社長にしたほか、財務省、総務省(旧郵政省)のOBやキヤノンなど民間出身者を副社長に並べた。亀井静香金融大臣の強引さが目立っているが、鳩山政権の一面を表していると言えよう。今回の日本郵政人事に関する疑問点を以下に書くと――

 斎藤氏が長年、務めた東京金融取引所の社長ポストは財務省の天下り指定ポストである。斎藤氏の後任も財務省OBである。金融の分野はもともと財務省・金融庁の監督・行政指導が強い。東京金融取引所を、株式会社だから、普通の民間企業だとみなすのは詭弁である。斎藤氏の日本郵政社長就任は一般にいう、天下りの“渡り”とみるのが自然である。

 今回、株式会社である日本郵政の人事に政府が強引に介入したというのは、日本郵政を普通の株式会社とはみていない証拠である。その一方で、東京金融取引所について、その公的な役割などを無視して、普通の民間企業だとして斎藤氏の天下りを否定するのは二枚舌もいいところである。

 西川善文前社長ら常勤、非常勤の取締役退任にもかかわらず、奥田碩トヨタ自動車相談役(前日本経団連会長)は取締役のまま残った。キヤノンから関根誠二郎氏が取締役兼執行副社長に入った。経団連の現会長、前会長会社から取締役が入った形になった。このほか、日本商工会議所会頭の岡村正氏が非常勤取締役に入った。これらの人事が示すのは、従来の郵政改革を否定する鳩山政権の郵政事業抜本見直しに経済界が賛同したということである。

 それなら、小泉政権以来の郵政改革を支持してきた経団連などは、その豹変ぶりの理由をきちんと外部に表明すべきではないか。また、日本郵政の指名委員会に諮らずに政府が役員人事を勝手に決めたことに対して、奥田氏も、今回、取締役を事実上解任された牛尾治朗、丹羽宇一郎氏らも表立って異論を唱えなかった。だらしないの一語に尽きる。それに、お飾りの非常勤取締役になってくれといわれると、ホイホイと受ける輩が何人もいるのにはあきれる。

 郵政改革については、もともと、なぜ、それをしなければならないと考えられたのか、そして、現実には何が行われたのか、をきっちり分析すること、そして、どこに問題があるのか、を整理する必要がある。とにかく郵政改革はけしからん、というだけで、まるまる元に戻そうというのか、そうではなく、日本経済・社会の全体のありかたを考えて、郵政事業はこうあるべきだというのか。そうした思考の道筋がよくわからない。巨大な国営の銀行、保険会社がもたらす歪みなどへの問題意識もない。自民党政治をとにかく否定するという発想はあまり生産的でない。

 経済界のリーダー的な立場の人たちは、この国難の時に、目先のことにとらわれず、大局をみた言動をしてほしい。切にそう思う。

  

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コメント

鳩山由紀夫がいかにごまかしの言い訳をしても、斎藤次郎は明らかに天下り・渡りである。
天下り・渡りを問題にしてきた民主党が自ら天下り・渡りをさせるわけであるから、鳩山由紀夫は責任を取るべきである。
nosmoking 民主党政権は異様な特異体質であり、亀井静香や千葉景子などの炎症を起こしたアキレス腱が多い。
鳩山・亀井・斉藤の社会主義国営の郵便局は決して使わず、
その代わりにコンビニ、ヤマト運輸、銀行、保険会社及び証券会社等を利用しよう。
そして、官営郵政を完全に衰退させて、預金等が国債の購入に使われないようにしたい。
国債の利払いは約10兆円になっており、税収の2割を超えている。

投稿: 民主党の渡り人事 | 2009年10月29日 (木) 19時54分

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