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2009年10月 3日 (土)

おもしろかったトヨタ新社長の会見

 トヨタ自動車の豊田章男社長の記者会見が2日にあった。さまざまな質問が出たが、出色は週刊誌「アエラ」の大鹿記者の質問だった。トヨタを取材するには通常、同社の広報部を通じるが、トヨタに批判的な記事を書いたりすると、「広告を出すのをやめるぞ」などと脅される。そうしたトヨタの広報部のありかたをどう考えるか、という内容である。

 豊田社長は「マスコミ各社に不快な思いをさせたことは申し訳ない。今後は誠心誠意、努力していく」と答えた。

 トヨタは日本一の大会社であり、GMを抜いて世界一の自動車メーカーである。国内では経団連会長を出したり、政府の審議会委員や政府系企業への役員派遣でも多くのトヨタマンを送り込んでいる。また、広告費の規模でも断トツの会社である。このため、スポンサーの強みを鼻にかけ、メディアに対し、傲慢な態度になりがちだった。金融危機以降、トヨタの広告出稿は激減したが、メディアへの姿勢は変わっていないらしい。

 記者会見での質問は、見方によれば、満座の中で社長が恥をかかされたということを意味する。ひょっとすると、トヨタはこれを機に広報・宣伝部門の幹部人事や態勢を大きく変えるのではなかろうか。

 会見の初めのほうで、豊田社長は経営学者、ジェームズ・C・コリンズの「企業が凋落する5段階」(出典:日経ビジネスマネジメント)を紹介した。第1段階:成功体験から生まれた自信過剰、第2段階:規律なき規模の追求、第3段階:リスクと危うさの否定、第4段階:救世主にすがる、第5段階:企業の存在価値が消滅、である。

 なるほど、私の見る限り、第1~第3段階は見事、これまでのトヨタに当てはまる。そして、豊田社長は「いまのトヨタはこの第4段階にある。どん底に近い。しかし、第4段階からでも復活は可能だ」と述べた。では、救世主とは誰のことか。豊田社長は「私のことではない。人材だ」とし、「これからも人材育成が重要。それはトヨタのDNAであり、重要な要素だ。すがるべきはこの人材だ」と語った。

 トヨタはかつては堅実無比で三河に拠って、中央でチャラチャラするのを嫌った。しかし、会社の飛躍に伴って、威張る傾向が出てきた。そうした社風の変化が元の堅実、謙虚さに戻ることになるのか。これからを見守りたい。

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