« 公取委の「審判制度」廃止へ | トップページ | 国の“借金”が半年で18兆円増えた »

2009年11月 6日 (金)

医療問題の基礎知識を『日本の「医療」を治療する!』で知った

 米国のエール大学、エモリー大学などで医学を教えていた武井義雄氏が書いた『日本の「医療」を治療する!』(09年7月、日本経済新聞出版社)を読んだ。米国での経験を参考にしながら、日本の医療の問題点を鋭く突き、処方箋を書いている。

 個人的には、医師不足などの原因を考えるうえで必要な基礎的知識を得ることができた。メディアはどうして、そのような情報を読者・視聴者に与えてくれないのかと思う。メディアの勉強不足と言ってしまえば、それまでだが‥‥。

 新研修制度で都市に集中するようになったのは、「2004年、政府が法律をつくって2年間の研修を必須にし、研修医の給料を病院に確保させたからである」。国は月俸30万円ぐらいとの目安まで設けた。これで、2年間、研修医として東京に行こうと思う者が増えてもおかしくはない。居心地がよければ、居つくかもしれない。

 研修指定を受けた病院には、「指導医経費」、「剖検経費」、「プログラム責任者等経費」、「研修委員会経費」等々、実に多くのカネが国から支払われる。しかし、きちんと研修をしているかというチェックはないという。だから、研修医の2年間に幅広く医療の基礎を身につけてプライマリーケア(病気になった人が最初に訪れ、診療を受ける。家庭医のような存在。患者を診て、必要があれば専門医に紹介する)ができるようになるべきなのに、そうなっていないと指摘する。

 そして、2年間の臨床研修のあと進む専門診療科研修制度があり、その制度と定員にも問題があるという。専門医になるための研修を受けている間の給与は研修医のときと違って国が何も言っていない。大体は大幅に低い。しかも研修の期間や内容は病院によってまちまち。定員過剰な専門医研修もあり、真に専門医とみなしてよいだけの研修を受けていなくても、研修が終われば、専門医を名乗れるという。

 著者は医療危機への緊急の対応策としていくつかを挙げている。第1に、医療事務員の大幅増員を求めている。病院の医師の雑用による負荷を減らせるからだ。「メタボ健診」は不要だという。これは医師不足を加速したという。

 第2に、経験のある看護師から選抜して専門教育を施し、医師代理としての資格を与える。

 第3に、専門診療科研修のプログラムの定員を「戦略的に上手に設定すること」。それを実現するため、政府、医師会、医学会が一体となって公的機関を設立する。

 第4に、病院をやめる勤務医がその地域で開業しやすい仕組みをつくる。例えば、病院から外来を切り離し、病院付属の診療所をつくって開業医に提供する。

 そういった対応ができるためにも、医療については地方分権を強めるべきだという。

 一方で、CTなど医療検査がやたら行なわれる背景には、それで診療報酬がかせげるといった事情があることを知る。

 

|

« 公取委の「審判制度」廃止へ | トップページ | 国の“借金”が半年で18兆円増えた »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/46689577

この記事へのトラックバック一覧です: 医療問題の基礎知識を『日本の「医療」を治療する!』で知った:

« 公取委の「審判制度」廃止へ | トップページ | 国の“借金”が半年で18兆円増えた »