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2009年12月 8日 (火)

COP15で日本は攻めの姿勢か守りの姿勢か

 地球温暖化にブレーキをかけるための気候変動枠組条約締約国会議(COP15)がコペンハーゲンで始まった。温室効果ガスの発生量と吸収量の差が大気中に蓄積されると、地球表面が温まって気候の変化が激しくなり、猛烈な風雨、洪水、熱波、干ばつなどが襲うといわれる。それに伴って、多くの動植物が絶滅するという。このため、人類の生存の基盤がゆらぎつつある。

 世界の科学者を総動員したIPCC(政府間パネル)は、温暖化によって何が起きるか、自然や経済社会などが受ける被害の増加を抑えるには大気中の温室効果ガス濃度上昇をどの程度にとどめるべきか、などを研究し、公表してきている。だから、世界各国の指導者たちは、程度の差こそあれ、温暖化を放置すべきではないことを理解している。問題は各論だ。どこの国が基準年に対し、いつまでにどれだけ減らすかである。ないしは増加率をどれだけ低めに抑えるかである。

 半年ぐらい前までは、鉄鋼、セメントなど、二酸化炭素の排出量の多い産業が、セクター別アプローチを唱え、政府の一部もそれを支持していた。鉄鋼なら鉄鋼で、世界の製鉄所のトン当たり排出量を比較して、排出量の多い工場の排出量削減を優先するという考え方である。しかし、コペンハーゲンでは国対国の交渉ごとなので、話題にもならない。

 したがって、中期目標として、どこの国がどれだけ削減ないし伸びの抑制を図るかという国際交渉となる。まだ、ほとんどの国は二酸化炭素の発生量と経済発展とがニヤリー・イコールなので、先進国を除いて、どこも自分たちが出す温室効果ガスの量の増加を抑えたくない。ことに、経済発展のレベルが低い国は完全にそうだ。

 日本の政府に対して望むことは2つある。1つは、日本は1990年比で2020年の排出量をマイナス25%にするという鳩山首相の発言は国際的にも高い評価を受けた。日本がマイナス15%程度と言っていたら、コペンハーゲン会議は全く展望が開けなかっただろう。その意味で、日本は今回の会議で二大排出国の米中を含む世界的な温室効果ガス削減中期目標をつくりあげるためのイニシアティブをとりうる立場だし、とってほしい。言いっぱなしでなく。

 温暖化交渉も外交である。各国とも、自国に有利な結論に持っていくため、外交手腕を振るう。要するに、外交が下手だと、不利な条約などを結ぶように追い込まれる。京都議定書は見方にもよるが、日本が最も割りを食った。今回も、受け身で交渉していると、その二の舞になるおそれがある。EU、米国、中国はまさに日本がえじきになりかねない交渉相手だ。

 2つ目は、鳩山政権はマイナス25%を実現するために日本がどうするか、具体的な方策を早急に詰めてほしい。そして、企業や市民に積極的に実行してもらうよう働きかけるべきだ。それと並行して、地球環境問題の重要性をさまざまな場を通じて国民に理解してもらうことがなにより大事だと思う。デンマークは風力発電や自転車へのシフトなど、明確な方向転換を行なった。日本だって、その気になれば、相当のことはやれる。

 高速道路の無料化などは、温暖化問題の重要性に照らせば撤回するのが当然だ。にもかかわらず、いまだにマニフェストに書いてあるからといって、財政難にもかかわらず撤回しない。

 マイナス25%をぶちあげただけで、国民をそこに結集して実をあげようとする努力が少ないのは驚くべきことである。政治は将来の国のかたちを国民に語ることで、国民を引っ張っていくことができる。しかし、説得力のあるものでなければ、国民はついていかない。

 政権の担い手が自民党から民主党に代わったことで、積年の弊が除去された面が少なくない。国民の多くはそれを評価しているように思われる。しかし、3か月、半年と経つにつれ、国民の民主党を見る目は冷静になっていく。

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