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2009年12月 4日 (金)

おかしなことばかり

 最近の報道でどうもおかしいと思う出来事がいくつもある。

●日本政策金融公庫の中間決算について。最近、日本経済新聞の「私の履歴書」に、帝人の社長だった現日本政策金融公庫のトップが登場した。人事の主流からはずれていながら、与えられた仕事の中で能力を発揮し、ついに帝人の社長にまでなったサクセス・ストーリーは、読ませるものがあった。その人物がトップの座にある日本政策金融公庫の中間決算が発表になった。経常収益3689億円に対し、経常損失がなんと5763億円にも達した。

 同公庫は国際協力銀行、中小企業金融公庫など政府系金融機関が統合してできたもの。運営は元の各機関が実質的に独立して経営しており、赤字の元凶は中小企業事業の部門である。そこの部門収支は経常収益767億円に対し、5267億円の損失を計上した。信用保証協会の代位弁済が高水準で推移したからだという。保険金支払いは4294億円だった。そして、政府の出資金1兆1059億円で自己資本の穴埋めをしたとのことだ。

 政府系金融機関にせよ、こんな大きな損失が出るというのは、信用保証協会が金融機関の中小企業向け融資に対して、まともに審査をしていないからではないか。また、公庫はそれを黙認し、景気対策だからといって、倒産そして貸し倒れになるような企業への融資について代位返済を保証したとしか思われない。こういう形で国民の税負担が増えるのは納得できない。きっちり説明すべきである。

●民間出版社が発行する『外交フォーラム』や『Japan Echo』を外務省が大量に買い上げて議員、有識者、メディアに配布しているのを、先の行政刷新会議が事業仕分けで廃止するとの判定をくだした。これについて、北岡伸一東大教授ら国際政治学者が緊急声明を出し、買い入れ継続を求めた。商業ベースで日本の外交政策の情報を発信し続けることは極めて難しいとの理由からだ。

 仕分けでは政策効果が薄いと判定されたが、私は特定の民間出版社に政府が肩入れするのはおかしいという原則論をとる。どこの分野でも学者、研究者は執筆した論文などを記載してくれる専門雑誌、総合雑誌や単行本の発行が減って困っている。過去には思想、信条に照らして絶対に執筆しなかった雑誌などに、いまは平気で原稿を書いている学者も少なくない。このように、現在、出版社の多くが経営難に直面し、どの分野の学者、研究者も発表機会が減ってしんどい。そうした中で、自分の関わる分野だけは特別のように思うのは視野狭窄もいいところではないか。

 求められるのは、このICT時代に、どうやって日本の学者や研究者らが発信したら、内外の関係者や専門家などに効果的に伝わるかを真剣に考え、工夫すること、それに、内外の人々を説得できる内容であるのか、切磋琢磨してレベルを上げること。そうした努力が必要ではないか。配っても読まれていないというようなことはなかったか。スパコンもスポーツ界もだが、税で支えてもらっているという謙虚さがほしい。

●神戸市の外郭団体への補助金をめぐる住民訴訟について、大阪高裁は市長への賠償請求を放棄するとの市議会議決を無効とする判決をくだした。もっともな内容だ。首長には提案権、議会には決定権という現在の二元代表制には問題があるといわれるが、首長と議会・議員(および職員・労働組合)とがなれあって、住民の利益に反する行動をとる自治体が少なくない。地方分権とか地域主権とか言葉は美しいが、住民に最も近い市区町村が住民の利益を優先するようにならないと、本物の地域主権は実現しないと思う。

 派遣先の仕事が市の業務に密接に関わってはいない、つまり天下りのような職員派遣にもかかわらず、市が補助金を出して市に損害を与えた。ということで、一審は神戸市に対し、市長らに損害賠償請求するよう命じた。これに対し、神戸市は控訴し、職員派遣に関する条例改正案を提出。その中に賠償請求権の放棄も入れた。そして、市議会はそれを可決した。この一連の動きは住民訴訟の意義を真っ向から否定したとんでもない行動である。主要な政令指定都市の1つである神戸市にして、このていたらくだ。

 同じ政令指定都市でも、名古屋市は就任して間もない河村市長が地域主権の実現を目指していろいろ試みている。こうした住民主体の地方政治を実現する努力が積もり積もることが国政レベルでの地方分権論議を促すだろう。

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