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2009年12月31日 (木)

新しい年に向けて、期待と不安

 2009年、日本の最大の出来事は政権交代だった。鳩山内閣の支持率はかなりの速さで下がっているが、さりとて、自民党・公明党の連立政権が続いたほうがよかったということにはなっていない。経済の長期停滞を脱する能力のない惰性的な長期政権に国民が見切りをつけたところに政権交代の意義が認められよう。

 2010年は鳩山政権がいよいよ真価を問われる。デフレや、それに伴う失業率の上昇などにどう対処するか。新年度の政府予算案を決めたあとの09年末に、政府は「新成長戦略(基本方針)」なるものを発表したが、いかにも唐突な感じ。各官庁からの提案を寄せ集めたようなにわか仕立ての印象を免れない。

 日本がどこに向かうべきか、目標がないまま、個別の政策ばかりいじっているという世論の批判に応えたつもりだろう。10年6月をめどに新成長戦略を取りまとめるとともに、実行計画(工程表)を打ち出すとのことなので、国民各層からの批判を踏まえ、実現可能性の高い意欲的な計画にまとめあげてほしいものだ。

 新成長戦略は公共事業・財政頼みでもなく、行き過ぎた市場原理主義でもない、第3の道、つまり新需要創造で名目成長率を2020年度までの平均で3%以上(実質成長率は2%以上)に引き上げるというものである。首相が言うように、絵に描いた餅にならないよう政権の実行力が試される。企業についてまともに言及していない点は疑問である。

 予算案の策定時もそうだったし、この新成長戦略もそうだが、使うカネをどこから調達するかの適切な説明が欠けている。これだけ国債などによる借金が膨らんでいても、国民に負担を求めようとしないのは誠実ではない。

 09年、国際的に最も重要な出来事は地球温暖化防止対策を話し合うCOP15(コペンハーゲン)だった。2020年までに世界全体として温室効果ガスの排出量引き下げに転じなければならないのに、ポスト京都の枠組みは成立しなかった。国連方式の全会一致でなければ義務を伴う協定が成立しないという仕組みは是正しなければならない。だが、それよりも何よりも、経済規模や温室効果ガス排出量などにおける米国、中国という二大超大国がリーダーシップを発揮するどころか、排出量の削減義務を負おうとしなかった。

 米中両国の指導者には、国民を説得して省エネ・省資源型の生活や経済構造に転換するリーダーシップが欠けている。人類の生存に関わる温暖化問題について、日本やEUが効果的な対策をまとめるようにイニシアティブをとっていかねばならない。米国では州や市で先進的な環境対策をとっているところがある。日本も東京都などが積極的だ。国、地方自治体、そして企業、NPOなどが独自に、また連携しながら、温暖化対策を展開していかないと、将来世代に暗い未来を残す可能性が大きい。

 地球温暖化とともに重要なのが生物多様性の危機だ。2010年10月、名古屋で生物多様性条約締約国の第10回会議(COP10)が開催される。地球温暖化や、熱帯雨林の開発、乱獲などによって、生物の種がたくさん絶滅している。絶滅数は1年間に約4万種ともいわれる。

 人類が生存している環境(生態系)が壊されれば、食料、木材、医薬などの供給が失われるし、水、栄養の循環、土壌の形成、保持などが維持できなくなる。人類が生存していくうえで不可欠なサービスが種の絶滅で失われていくことは、我々の子孫に致命的な打撃を及ぼす。2010年は温暖化問題とともに、生物多様性問題に対して、対策の大きな一歩を踏み出すことが強く望まれる。サステナビリティ(持続可能性)という視点で主要な課題に取り組む時である。

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