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2010年1月20日 (水)

でたらめ?だった日航の財務諸表

 19日に日本航空が会社更生法の適用を申請した。企業再生支援機構の支援のもとで、速やかに再建を図るという。

 連結決算方式で見たグループの負債総額は2兆3221億円(昨年9月末)で、債務超過額はことし3月末見込みで8676億円に達するとのことだ。

 しかし、ちょっと待って。昨年3月期の連結決算を見ると、営業収益1兆9512億円、経常損失822億円、当期純損失632億円。総資産1兆7507億円、負債1兆5539億円、純資産1968億円である。そして昨年6月24日の監査報告書(新日本有限責任監査法人)によると、日航の連結決算の有価証券報告書は、経営成績などの状況を適正に表示しているという。

 また、四半期決算の発表資料によれば、昨年9月末現在の総資産は1兆6827億円、負債は1兆5235億円、純資産1593億円である。株主資本は2464億円である。

 ところが新聞報道によると、会社更生法申請の際に会社が発表した資料では、昨年9月末の負債総額が2兆3222億円となっている。また、ことし3月末見込みでは、8676億円もの債務超過になるという。この極端な数字の違いは何なのか。昨年9月末現在で、株主資本が2464億円あったのが正しければ、昨年10月~ことし3月の業績次第だが、今回の更生法適用で100%減資はおかしいことになるかもしれない。

 確かに、会社がつぶれると、いままで稼働していた資産(機械など)であっても価値がなくなる。解散価値でみたら、相当の債務超過になるだろう。しかし、日航の場合、事業継続が保証されている。しかも、一番大きい資産である航空機(7236億円)は古くなったものが多いとはいえ、営業が続くので、スクラップにする機材は限られるはずだ。年金積立不足をこの際、ある程度解消するのかもしれないが、いずれにせよ、過去に公表された財務諸表から推定する限りでは、突如9千億円近い債務超過になるのは理解しがたい。

 となると、考えられるのは、これまでの財務諸表がインチキだったということである。以前から、日航の決算は実態の悪さを隠す粉飾をしているという噂があった。しかし、監査法人は日航の決算が適正だというお墨付きを出していた。もしも、巨額の粉飾決算をしていたとしたら、日航の経営陣や監査法人の責任がきびしく問われよう。メディアはこうした点から日航の破綻を厳しく追及することも忘れないでほしい。

 日本公認会計士協会は「Justice for  Fairness(公正を求める心)」を業界の合言葉にしている。「数字の背景に経営の本質を洞察し、様々な経済活動の成果の姿を限りなく透明化し、独立した第三者としてその正しさを保証する」という。しかし、機構は厳格な資産査定をしたら、大幅な債務超過になるという。裏返せば、監査法人の監査は厳格ではない、いい加減なものだったと言っているのではないか。日航問題を機に、会計士業界は反省を求められるのではないか。

 日航にはたくさんの個人株主がいた。彼らが入手できた直近の決算データでは100%減資というペナルティを受ける理由はない。いまの情報開示制度のもとで、「株主責任」という言葉を安易に使って個人株主に責任転嫁を図るのは問題があると思う。

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