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2010年1月 5日 (火)

巨大邦銀の増資の金額には驚く

 日本経済新聞の5日付け夕刊に、三井住友フィナンシャルグループが月内にも8千億円規模の普通株増資を実施することで最終調整に入ったという記事があった。同社は昨年6月に約8600億円もの普通株公募増資をしたばかりだから、記事通り、新たに増資が行なわれると、わずか1年以内に株主資本として1兆6千億円余もの巨額を株式・資本市場で調達することになる。

 一足先に、三菱UFJフィナンシャル・グループは08年末と09年末とに合わせて1兆4300億円程度を普通株増資で集めたし、みずほフィナンシャルグループも昨年6月に普通株増資で約5300億円、調達した。国際的に活動する銀行には自己資本比率規制を強める流れになっていることが背景にあるからだが、邦銀のこうした増資には釈然としないものを感ずる。

 第1に、これだけ巨額の増資をすると、1株当たり利益などが希釈化され、既存株主の利益を侵害することになるのではないか。銀行側としては、自己資本を増やさないと自己資本比率規制の強化に対応できないという理屈があるのだろうが、株主の利益を守るという基本的な認識が経営陣に欠けているように感じられる。

 第2に、わずか1年以内に巨額の増資を二度も実施するという非常識である。三井住友で言えば、株主資本を1年以内で5割以上も増やす計算だ。これでは株式市場の足を引っ張る。失礼だが、ホリエモンのライブドアが手品のようなやりかたで株主資本を増やしたのを思い起こした。それと同列には論じられないが、行き過ぎた会社本位の態度には疑問がある。

 第3に、巨大邦銀は、図体だけはでかくなったが、いまもってグローバル化が遅れたままだ。国内の預貸業務中心というビジネスモデルは変わっていない。取引先の株式をいまだに大量に保有しているから、株価変動の影響を受けやすい。また、国債をたくさん抱えているので、今後、金利が急激に上昇したりすれば、国債暴落で大きな損失をこうむるおそれが大きい。

 信用秩序を保つため、政府・日銀は巨大銀行の破綻を避けてきた。また、証券、保険などの業務分野に銀行が進出するのを段階的に認めてきた。その結果、巨大邦銀は厳しい自己改革の努力を怠り、もっぱら国内の金融諸分野に手を広げて「お山の大将」になることをめざしてきた。このため、グローバルな競争力は依然弱い。

 三井住友は今回の増資資金を海外での企業買収に使うことを視野に入れているという。それが主目的なら、社債で資金を調達するという選択肢もあるのではないか。株式・資本市場を育成するうえでも、株主の利益を踏まえた経営が巨大邦銀に求められる。

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