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2010年1月11日 (月)

沈む日本航空

 実質大幅債務超過に陥っている日本航空の再建策が大詰めの段階に来ている。普通の会社ならとっくの昔に倒産し、新会社で再スタートできたとしても、こじんまりとしたものになるだろうが、同社は政府のつっかい棒によって再生の道を歩むことになりそうだ。

 経営再建でいま論議になっているのが減資だ。企業再生支援機構などは100%減資を主張しているというが、一部には99%減資といった案もあるようだ。東証上場を維持するため、かつ、たくさんの個人株主の保有株式を紙くずにせず、将来にわずかの希望を残すため、である。

 私の記憶では、1960年代半ばごろまでは100%減資はせず、株主にかすかながら希望を残していた。100%減資して、株券がふすまに貼るしか何の価値もないようになったのは、その後のことだ。株式の本質から言えば、100%減資は当たり前だが、では、日本の株式・資本市場で株主がリスクに見合う配当などを受け取っているかというと、否である。グローバル化に伴う企業買収への不安から、にわかに株主重視に転じた日本企業もあるが、欧米に比べ、株主軽視は明らかである。これでは、日本株は上がらないし、間接金融から直接金融へのシフトもなかなか進まない。

 再スタートする新・日航のCEOに稲盛和夫京セラ名誉会長(77)の名が上がっているという。民主党を支援する経済人として知られる稲盛氏は小沢一郎民主党幹事長と親しいから、そうした線から出てきたのだろう。この話で、その昔、ジャンボ機が御巣鷹山に激突したあと、日航再建のために伊藤淳二カネボウ会長が日航会長にかつぎだされたことを思い起こす。

 伊藤氏は日航に一人で入り、再生に本気になって取り組んだが、社内外の勢力の抵抗のため、途中で追い払われた。そのときの伊藤氏よりも稲盛氏ははるかに歳をくっている。引き受けたとしても、難題が山積している日航を引っ張ることはまず不可能だろう。経営再建のプロ集団に全面的にゆだねるのがいいのではないか。

 ところで、日航といえば、長い間、大学新卒の就職志望先ランキングの上位にあった。特に、女子学生にとってはあこがれの職場だった。しかし、国策会社の状態が長く続いたうえ、航空行政のしばりが強いため、純粋の民間会社になっても、国際競争に勝てる経営体質にならなかった。社内の権力抗争、たび重なる合併(大きな含み損を引き継いだことも)、経営多角化の失敗、労働組合問題がそれに輪をかけた。

 知人などと話すと、日航への同情は聞かれない。社員は高給で、機長、スチュワーデスなど乗務員をハイヤーで送り迎えするなど、コスト意識が欠けているなどと言う。近年、実際にはかなり変わっているようだが、そうした一般の人たちの認識はなかなか変わらない。一方で、たくさんの賞を得た映画「沈まぬ太陽」は多くの観客を集めたが、観た人たちは日航にいい感情を持たないのではないか。

 正月の利用客数が全日本空輸と対照的だったのは、そうした一般の心情と、経営危機が安全に影響しかねないという顧客の不安とが響いたような気がする。日航を真に建て直すには、過剰な規制や政治家、官僚などからの介入をなくし、すぐれた経営のプロたちのもとで、社員が一致団結するようになることが求められる。

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コメント

はじめまして。一年か二年ほど前に調べものをしていて、偶然貴サイトを見つけ、それ以来興味深く読ませて頂いております。

昨年10月まで4年あまり政治家の地元秘書をして、地域の問題、政治の問題を肌で感じ、昨年末に上京しコンサルタントに転職しました。

今後も更新を楽しみにしています。

投稿: ペニー | 2010年1月11日 (月) 17時33分

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