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2010年2月28日 (日)

中国と日本を比べると

 「台頭する中国とどう向き合うか」。先週、遊川和郎北海道大学大学院准教授の会見を聞いた。中国は自国を社会主義ないし社会主義市場経済と称するが、「強欲社会主義」と言うとわかりやすいと言う。

 中国は経済発展優先、国家目標達成最優先、および利益最大化のためには手段を選ばないという価値観の国であり、資本主義との違いがあるとすると、唯一、共産党が統治していることだと遊川氏は指摘した。

 中国の存在感が増した背景には、WTOへの加盟と全球化(グローバリゼーション)の進行が挙げられる。日本のデフレや非正規雇用の増大もそのせいだという。

 将来のことはさておいて、現在の中国の強さは次の4点によるという。即ち、①一党支配に基づく安定した長期政権である、②共産党が決めたら、それを実行するだけで、選挙も議会対策もないから、「民主主義」のコストが低廉である、③権力と資源の総動員が可能である、④市場という見えざる手と共産党の手とから成るハイブリッド経済である。

 しかし、国民に自分の頭で考えることを認めず、共産党の指導に従っていればいいという「民主主義でないコスト」は急上昇しているという。だが、党内民主化は許容するにしても、党および党員の利益を保持するため、党の分裂ないし複数政党化は認めない。すべては共産党の掌の上にあるとしている。

 台頭する中国に対し、日本は衰退傾向にあり、その対比は興味ある論点である。『ニューズウイーク」日本版の2月10日号は「ジャパン・アズ・ナンバースリー」と題する特集をした。エズラ・ボーゲル・ハーバード大学名誉教授と周牧之・東京経済大学教授の対談は、日本に関して以下のように鋭い観察をしている。

 ・日本では、働く者の利益を重視し、社会保障が充実している。そのため、これに頼る風潮が人々の意欲不足を招いている。中国はセーフティーネットの不備で社会の緊張感が高まり、多くの問題を招いているが、それが経済の活力を刺激している面もある。

 ・日本では、中央政府が財政の再分配で地方の公共サービス、義務教育、社会保障を支えてきた。一方、中国は中央による地方政府への再分配の発想が乏しかった。地方の自主性が乏しい日本では、地方政府が相変わらず国依存で、積極性に欠けるため、そのことが近年の地方経済の衰退を招いた。

 ・中国は文化が多様で少数民族も多いが、日本は国内の文化的な差異が小さい。だから、日本人は文化的背景の異なる人たちと交流する経験が少ない。ハーバード大学に留学しても、帰国したあと、企業や政府機関といった狭い世界にこもってしまう。日本のエリートは、聡明は聡明だが、狭い。中国人のほうが大局的だ。

 ・日本と中国では、エリート層が直面する国内外の問題の複雑さや深刻度が違う。もまれる機会が日本は相対的に少ない。そのことが、外国との交渉や国連の場でコミュニケーション力のあるリーダーが生まれにくい事態を招いている。

 ・中国の発展に対する日米の態度の違いは、米国人は単にカネを稼ぎたいだけなので、中国をビジネスチャンスととらえている。国家のことはあまり考えない。何でもうまくやれると楽観的である。日本は違う。資源のない島国で、工業分野しか国際競争力がないからだ。

 NHKの「日曜討論」のテーマを見てもわかるように、日本の政治はきわめて内向きである。世界を見ていない。中国の台頭で日本がナンバースリーの経済国になるのは当たり前のことだが、もっと米国や中国から学ぶことがあるように思う。

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コメント

中国は経済を優先発展させるために、国民の利益、特に低収入層の利益を犠牲したことは確かにです。中国は世界から批判を浴びていますが、先進国より速く、簡単に発展を遂げることができたことも注目されています。「収入分配改革」は中国政府にとって、最も重要な課題のひとつになっていますが、今はまだまだ道が遠いです。
日本は本当に競争が足りない国です。日本人は世界で一番頑張っていて、賢いと思いますが、今の社会制度で十分に力を発揮することができないです。将来、中国やインドなどの新興国はもちろん、日本は韓国との競争でも精いっぱいになるだろう。
今の時代になると、日本または先進国とも今の福祉制度について、考え直さなければ、ならないです。競争力を生み出すことだけではなく、発展途上国の発達による先進国の力が弱めつつあって、今の豊かを維持することができるかどうについても考えなければいけないと思ういます。

投稿: yuanbihua | 2012年3月 6日 (火) 14時47分

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