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2010年2月 4日 (木)

40年近く町長だった男に意外な終止符

 福岡県の中島孝之副知事が収賄容疑で今月2日に逮捕された。そして、贈賄容疑で同県添田町長の山本文男氏が逮捕された。後期高齢者医療制度の導入に際して、町村の負担金を少なくするよう便宜をはからうというやりとりに伴う謝礼が逮捕の理由である。

 この事件の報道で関心を持ったのは、山本氏が1971年に添田町長に当選してから今日まで実に40年近く、町長の座にあることだ。現在10期目で、84歳。92年からは福岡県町村会会長を務めており、全国町村会会長のポストも6期目である。10年以上、全国町村会会長を務めていることになる。

 彼が初めて添田町長になったのは、日本がオイルショックに直面する前の高度成長の頃である。翌年の1972年に、田中角栄が初めて総理大臣になった。国土の均衡ある発展を掲げて、自民党政府が経済成長の果実を公共事業などの形で地方にばらまいた。いまから一昔も二昔も前の時代である。

 都市と地方との格差を理由に、いまだに地方にもっと助成をというのが知事会、市長会、町村会の主張だが、山本氏は県町村会会長として、また全国町村会会長として、そうした要求を繰り返してきた。1990年代後半のことだが、政府の審議会で、山本全国町村会会長が、地方の暮らしは貧しい、地方は育てた人材を都市に一方的に供給するだけで損している、その分を都会は地方に払え、という趣旨の発言をしていたことを思い出す。

 しかし、現在の日本は財政赤字が累積して、国家財政は破綻への道を歩んでいる。民主党中心の鳩山政権はそれを加速している。企業や豊かな都市から召し上げて地方に配るという時代はとっくに去った。日本経済全体が沈没しかかっているのだ。

 いま、必要なのは、デフレからまともな経済成長へと経済政策を転換するとともに、財政の健全化を念頭に歳出の抑制・削減と増税・社会保険料の引き上げの道筋をつけることである。同時に、住民に近いところに権限と財源とを移す地方主権をできるだけ進めることである。

 そうした日本再生の方向に照らしたとき、中央からカネをとってくるという、山本氏のような古いタイプのリーダーをいただいてきた福岡県町村会や全国町村会のありかたに疑問を持つ。山本氏の逮捕を奇貨として、町村会が真の地方主権へと目覚めるのを願うばかりである。

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