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2010年2月14日 (日)

市場金利の上昇は財政悪化を加速する

 民主党は4年間は消費税を引き上げないと公約したからというので、消費税引き上げに踏み出そうとはしない。しかし、最近の内外情勢は、同党に対し、消費税引き上げを含め、財政健全化に早く取り組むよう迫っている。

 だが、消費税アップといったまともな問題提起をしたら、総選挙に負けるという意見が民主党内に強い。同党の良識派の一人、仙谷国家戦略相でさえ、そういう意見である。しかし、衆議院選挙で圧倒的な勝利をおさめた今日にいたっても、民主党が、国民を、うまい話にしかついてこないという目で見ているとしたら、国民蔑視もいいところである。

 国外では、ギリシャの財政危機は深刻である。同国はEUに加盟し、EU諸国と共通通貨なので、ギリシャの財政破綻の影響がEU諸国に及ぶ懸念がある。スペイン、イタリアなども財政再建への取り組みをしている。金融危機以降の財政出動でフローの財政収支が極端に悪い米国政府は、野放図な財政膨張に上限を設けようとしている。

 それに対し、民主党が議会の多数を占める日本では、民主党中心の新政権が財源を国債増発に求める形で、大盤振る舞いをしている。2009年度第2次補正予算にせよ、2010年度予算案にせよ、景気の下支えのねらいもあり、「財源なくして歳出なし」という財政節度を無視している。このため、最近、米国の格付け機関が日本国債の格付けを引き下げるウォーニング(警告)を出したほどだ。

 市場の動向をウオッチするエコノミストやアナリストたちも、成長政策がないまま当面の応急対策にばかりカネをばらまく政府の経済政策に一段と厳しい目を向けるようになった。

 いまのところ、財務大臣(いまは菅直人副総理)だけが財政破綻を懸念して消費税引き上げなど財政再建への取り組みを口にしている。しかし、これでは、市場の反乱というか、市場金利の本格的な上昇が何らかのきっかけで始まるのではないか。

 4日、財務省が発表した「2010年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」の発表資料の末尾に、参考として「2011年度以降、金利(10年国債)が変化した場合の国債費の増減額」が試算されている。もともとの影響試算を前提にして、金利がそれよりも1%高くなったら、国債費は2011年度に1.1兆円増加、2012年度は2.6兆円増える。さらに2013年度には4.3兆円増える。金利が2%上がった場合にはそれぞれ、その2倍程度に増加する。

 私の理解では、消費税1%で約2.5兆円の税収増が見込まれる。したがって、10年国債の金利がいまより2%上がったら、それによる国債費増をまかなうため、2012年度の場合、消費税率2%増でほぼトントンということになる。2013年度となると現行の3~4%アップに相当する国債費増になる。それより先の年度については触れていないが、消費税率をもっともっと上げないと、2%の金利増による国債費増を賄えないだろう。

 日本政府が真剣に財政再建へと動かないと、いつ金利上昇という爆弾が破裂するかわからない。

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コメント


こんにちは。いつも興味深く拝見しております。少し前のエントリにコメントいたします非礼をお許しください。

国債の金利が実体経済を反映しない形で、リスクプレミアムを織り込んで上昇していくと、国債費が増額する一方、税収は増えないので、一層の財政悪化を招くという点にはまったく賛同いたしますが、
そもそも、そのような事態が近い将来起こりえるのかというと少し疑問が残ります。

公債負担論は諸説わかれておりますが、ラーナーによれば、内国債はいわば家族の中で資金の融通をし合っているだけだから国民の負担とは言えず、外国債こそ負担であるとされています。

ご存知のとおり、わが国の国債は9割以上が内国債でありまして、主として国内金融機関が引き受けています。もちろん、国内金融機関が国債を買い続けている現状こそ異常なものであるとの指摘も成り立たないわけではありませんが、現状としては金融機関は預金の運用先に乏しいのが実態で、あまった金を低金利の国債に振り向けるしかないのだと思います。つまり、問題なのは、国内金融機関の経営判断ではなく、運用先となる民間の最終需要が無いことであると考えています。

すなわち、民間投資を喚起する政策こそが重要で、それが財政政策によるべきか、あるいは構造改革によるべきかはここでは論じませんが、金融機関が国債を買い続けることが問題なのではなく、運用先となる最終需要が無いほどに経済が停滞していることこそが問題だと考えます。

少し話がそれましたが、現状の不況が続くならば、ある程度国債発行を増額しようが、長期金利の破滅的上昇をもたらすことなく安定的に消化され、あるいは景気が回復に向かうのならば、金融機関の国債買い支え能力は衰える一方、税収増と穏やかなインフレによって政府の債務負担そのものが減少していくと考えます。

以上により、近い将来に長期金利の破滅的上昇がありえるとは考えておりません。
ただし、このような経済停滞と税収減が続くのであれば、いつかは破綻のときが訪れるとは考えておりますが。

投稿: wakasa2009 | 2010年2月28日 (日) 20時48分

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