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2010年2月24日 (水)

杉本前財務次官「この財政状態はサステナブルでない」

 財務省の付属組織である財務総合研究所は「変化する世界経済と日本経済・財政の課題に関する研究会」を開催しており、2月2日には第5回の研究会を持った。この日の報告者の1人は杉本和行前財務省事務次官だった。報告のタイトルは「日本における財政政策とその課題」。

 報告要旨の中から参考になる部分を取り上げると――

 1990年度予算(特例公債から脱却した)から2009年度までに国債残高は400兆円以上増加した。その主な要因をみると、税収減が150兆円強、経済対策における公共事業の増加が64兆円程度、社会保障費の増加が130兆円である。

 資金循環統計によると、一般政府の赤字は拡大、家計の貯蓄超過幅は縮小している。非金融法人企業は負債過剰の解消に努め、大きな貯蓄超過になったが、近年、その貯蓄超過幅は縮小している。

 高齢化の進展を考慮すると、家計貯蓄が増加することは考えにくい。一般政府の赤字幅が拡大することも加味すれば、国のこの財政状態はサステナブル(持続可能)ではない。中長期的に、経済の波乱要因となるのではないかと考えている。――

 財務省の前事務次官が「サステナブルでない」と述べた日本財政の危機については、財務省OBの野口悠紀雄早稲田大学教授が文芸春秋3月号に「ついに国債破綻が始まった」と題して具体的に何が起こるかを書いている。即ち、強烈なインフレだ。第二次世界大戦後の4年間で物価が60倍になったように。そうなれば、国の借金は実質60分の1に軽減される。逆に、貯蓄はほぼパーになる。

 それを避けるにはどうしたらよいか。野口氏は「非現実的・乙女の願い的シナリオであることを承知の上で言えば、インフレで身ぐるみはがされる危険を国民が自覚し、それを回避するように政治に働きかけることだ。無駄遣いを減らし、国の支出を経済力に見合ったものにすることである」という処方箋を示している。

 この記事の中で、野口氏は、税収が歳出の4割しかない2010年度の政府予算には「日本の死相」が明瞭に現われている、とすら指摘している。

 いまの国会は2010年度予算の政府案を審議しているはずだが、ここに紹介した杉本氏や野口氏のような危機意識は全くうかがえない。なんともおそろしい話ではある。

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