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2010年2月23日 (火)

ドイツの温暖化対策「The budget approach」の示唆

 低炭素化を訴える山本良一東京大学教授の話で、ドイツ連邦政府の地球気候変動諮問会議(WBGU)が昨年出した特別レポート「Solving the climate dilemma:The budget approach」を知った。これから2050年までの間に世界が排出する化石燃料に基づくCO2量の上限をあらかじめ決め、それを1人当たり均等に割り振る。そして、それをもとに各国が化石燃料依存を21世紀前半のうちにほぼゼロにしていくという構想だ。

 同レポートは、試算をもとに、世界は可能な限り早く脱炭素に着手すること、そして2015~2020年(5年ないし10年後)に世界の化石燃料消費によるCO2排出量が減り始めないと、産業革命以降の平均気温上昇を摂氏2度以内にとどめるという主要国の合意は達成できない、という警告を発している。

 地球温暖化が進めば、乾燥・砂漠化、海面上昇、豪雨・洪水や生物の種の死滅、食糧不足など人類の生存基盤を脅かすさまざまな危機が襲ってくるとされる。そうした危機をある程度にとどめて、絶望的な状況に至らないようにするには、平均気温の上昇を摂氏2度以内に抑える必要がある。

 そのためには、「The budget approach」と名付けた試算によれば、2010年から2050年までの40年間の化石燃料起源のCO2排出合計を7500億トン以下にとどめなければならないという。そして、この排出枠を2010年の世界の人口69億人をもとに1人当たり均等に配分するという国際的な取り決めを行なうものとしている。ちなみに、人口に基づく各国への配分量を2008年の各国の年間排出量で割ると、日本は11年分の排出枠を保有することになる。ちなみに、米国は6年分、中国は24年分、インドは88年分である。世界全体では25年分に相当する。

 日本の場合、いまのままのCO2排出量を続けるとしたら、計算上、11年後には化石燃料の消費によるCO2排出をゼロにし、以後もずっとそれを守らなければならないということを意味する。このアプローチでは、貧しい国などは排出権を売ったり、共同実施をしたりして、自国の経済発展や脱炭素を図ることができるので、先進国のほうは思い切った低炭素化を図りつつ、足りない分を排出権の購入などで補うという選択肢が可能である。

 いずれにしろ、このアプローチによれば、2050年までの間に化石燃料の時代は終わりを告げる。しかし、7500億トン以内に抑制するという試算によれば、それでも摂氏2度以内の平均気温上昇におさまる確率は67%である。同レポートのもう1つの試算では2010~2050年の総CO2排出量を6000億トンにとどめた場合、摂氏2度以下の気温上昇にとどまる確率が75%になる。

 このアプローチは過去の排出は計算に入れないが、地球温暖化が国際的なテーマとなった1990年以降の排出に比例して各国に資金拠出を強制するという。その資金は創設する「世界環境銀行」の補償基金として、途上国などの脱炭素支援に充てるという構想である。

 未知の要素がたくさんあるが、ドイツ政府のこの試算は、私たち人類が直面している気候変動による危機が容易ならざるものであることを教えている。日本政府は温暖化問題にもっと真剣に取り組むべきだ。政治の責任はものすごく大きい。 

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