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2010年3月 3日 (水)

巨額の財政赤字に対する危機感の違い

 作家、村上龍さんの「専門家たちに聞く」(jmm@jmm.co.jp)の3月1日号(Q.1052)は「現在の巨額の財政赤字は、次世代にとって、具体的にどのような負担となり、どのような苦境が待っているのでしょうか」という質問への10人の回答を載せている。経済学者、評論家、それに証券・生保など金融機関関係者である。

 そのうち、財政再建が喫緊の課題と考えていない回答者が4人もいたのには驚いた。マクロ的に見ると、国債などの国の債務の大半が国内の金融機関などの国債保有などで賄われている点をとらえて、「日本国民の間の借りたり、貸したりで何の債務債権関係もないという極論も成立する」(三ツ谷誠氏)、「課税や分配の公平性さえ保てれば、債務残高の大きさに必要以上の恐れを抱く必要はない」(杉岡秋美氏)と書いている。

 また「長期金利や為替レート、何よりもインフレ率を見ると、日本の政府の債務に対してはまだ十分な需要があり、財政再建は「喫緊の課題」ではないと思いますが‥」(山崎元氏)という意見もある。ただ、同氏は「将来のリスクを縮小する意味を含めて、累積財政赤字を縮小する方策を考えておくことはいいでしょう」と付け加えているが。

 一方、財政改革を求める意見では、土居丈朗氏が、巨額の財政赤字による債務返済負担の問題とともに、経済活動に悪影響が波及する点を強調し、「今日、生きる世代ができる限り多く返済負担を負う政策に早期に同意すること」、それが将来世代への責任を果たすことになる、と述べている。

 また、津田栄氏は「これまでの延長線では解決できない」として、経済成長戦略を求め、「リーダーが痛みを負っても積極的に改革を行う覚悟がないと解決できない」と断言している。

 我が国の累積財政赤字は世界一だが、マクロ的、事後的に見ると、国内の個人貯蓄でそれを賄っている格好だ。しかも、民間の資金需要が乏しいため、超低金利状態が続いている。

 民間企業の活力が高まれば、資金需要が出て、長期金利が上昇に転ずるはずだが、そうなると、国債相場が下落して、国債をたくさん保有する金融機関などの経営危機につながるおそれがある。国債発行のコストもはね上がる。その意味では、日本経済が停滞を続けることが国債の大量発行を許容する唯一の道である。

 しかし、高齢化、人口減により、貯蓄率は低くなっている一方で、税収低迷や社会保障支出増大のため、大規模な財政赤字を繰り返せば、国債市況の暴落など経済混乱に直面しよう。そうした予測が市場に広がれば、投機が動き出し、国債先物の売り叩きも起きるに違いない。

 いままで何とか回ってきたのだから、これからも何とかなるのではないか、という甘い楽観論に決別すべき時ではなかろうか。

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