« シンポ「ワーキングプアを成長の原動力に転換させるには」 | トップページ | 蚕・生糸をめぐって »

2010年4月 1日 (木)

「数年程度は財政破綻は起きない」?

 元気のない日本をどうやって活性化したらいいのか。朝日新聞の4月1日付け朝刊は「こうする! 日本再生」と題して1ページフルに使った特集をしている。3人の論者の診立ては似たようなもので、治療法が異なる。

 経済学者の飯田泰之氏(駒沢大学)は今年から来年にかけての世界経済の回復に乗って日本経済を回復できなければ、日本経済は破綻の危機に直面するかもしれないと見る。民主党の再分配政策は早晩、財源問題に直面する。イノベーションしか活路はない。そのためには、金融の量的緩和を行うこと、若者から高齢者へ、都会から地方への富の移転という歪みを是正すること、そのうえで増税すること、そして、労働市場の規制緩和や流動化を図ること、を提案している。

 経営共創基盤CEOの冨山和彦氏は、20年も停滞している「日本は、すでに破綻状態に近い。国家財政が象徴的だ」とし、「本来は両立しない政策パッケージを全部やろうとする」民主党政権が続けば、破綻は早く来ると指摘する。そして破綻は新たなシステムへの再生の一歩だという。自民党政権の末期の頃から、なぜか、政府が「新たに事業を興すこと、雇用をつくることができないように」一生懸命やってきたようにみえる。いままでの「鎖国・融和」的な経済社会は、破綻後は「開国・競争」的な経済社会へ一気に変わると楽観しているという。

 A.T.カ-ニーのプリンシパル、吉川尚宏氏は、国をもっと開き、「国の制度や仕組みを海外と互換性のあるものにすること」を提案している。霞が関の脱ガラパゴス化、中央官庁の総合商社化も提案している。外資系企業が次々と日本から去っているのは、日本の社会や市場に魅力がなくなっているからだとし、このままだと、日本企業も出ていくかもしれないと指摘する。

 ところで、1日前の3月31日付け同紙コラムでは、経済産業研究所上席研究員の小林慶一郎氏が国債の発行残高が積み上がって、財政破綻が起きるのではないかという懸念に対して、同氏の見解を述べている。それによれば、「これから数年程度は財政破綻や国債の暴落は起きないだろう。また、日本の産業構造が根本的に悪化しないかぎり、10年先でも大丈夫かもしれない」という。

 しかし、「40年、50年後には、国債市場が不安定になり日本経済に様々な悪影響を及ぼす時代が確実にやってくる」とのことだ。

 小林氏は近い将来に関しては、日本の輸出産業の基礎体力が構造的に弱くなり、貿易赤字が定着するような状態にならなければ、国債暴落・財政破綻は現実化することはあまり考えられないという主張である。だが、吉川氏ら上記3氏は、日本経済が高コストで、新興国などとの競争に負け続けているという基本認識に立って日本再生の道を提案している。小林氏のほうが楽観的というか、3氏のほうが危機感が強いということになる。

 とはいえ、小林氏のコラムも、政府債務は利子が利子を生む雪だるま式に膨らみ、財政再建に取り組んでも、安定するまでには2世代か3世代の年月を要するという。そして、「アルゼンチンや現在のギリシャのような不安定な経済と財政が、日本の次の世代とその次の世代を苦しめるだろう」、「将来世代への責任を直視し、長いスパンで財政再建の道筋を描く必要がある」と締め括っている。

 財政破綻を懸念する新聞や雑誌の記事が民主党政権になって目立つ。こうした記事を読むにつけ、政治の責任は大きく、果てしないとの感想を抱く。

|

« シンポ「ワーキングプアを成長の原動力に転換させるには」 | トップページ | 蚕・生糸をめぐって »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/47967777

この記事へのトラックバック一覧です: 「数年程度は財政破綻は起きない」?:

« シンポ「ワーキングプアを成長の原動力に転換させるには」 | トップページ | 蚕・生糸をめぐって »